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キャリアアグリゲーションやVoLTEって何? 格安SIMでも使える?

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 スマホの最新技術として、大手キャリアが積極的にアピールしているのが「キャリアアグリゲーション」や「VoLTE」。

 どちらも、LTEに関連した技術で、前者がデータ通信の高速化に、後者が音声通話の高音質化につながるものです。

 一見、格安SIMやMVNOとは関係がないようにも思えますが、実はそうでもありません。今回は、この2つの技術について解説していきます。

2つの周波数帯を掛け合わせて高速化するキャリアアグリゲーション

 キャリアアグリゲーションは、LTEを高速化する技術のこと。キャリアとは何かを伝送するためのもの、アグリゲーションは合わせることを意味します。

 つまり、電波を足し合わせるのがキャリアアグリゲーションというわけです。

 メリットも非常にシンプル。速度が2つの周波数の合計になります。たとえば、下り最大75MbpsのLTEを2つ足し合わせると、合計で下り最大150Mbpsになります。

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 利用には、キャリア側が対応していることに加え、端末も必要になります。

 auでは2014年夏モデルから、ドコモでは2015年春モデルの一部からこのキャリアアグリゲーションを導入済み。ソフトバンクも、900MHz帯のLTE導入に伴い、キャリアアグリゲーションが利用できるようになっています。

 現在、ドコモとauでは下り最大225Mbps、ソフトバンクでは下り最大165Mbpsとなっており、この速度に達するためには、キャリアアアグリゲーションの利用がマストになります。

LTEで音声通話を可能にするVoLTEは高音質化がメリット

 もう1つの、VoLTEとは「Voice over LTE」の略称で、LTE上で音声をやり取りする技術のことを指しています。

 VoLTE対応以前のLTE対応端末は、通話に3Gしか使えませんでした。そのため、発着信の際に、あえてLTEの電波を離し、3Gに切り替えて通話を行っています。このことを、「CSフォールバック」と呼びます。

 対するVoLTEは、LTEのまま通話の発着信を行うため、回線そのものを切り替える必要はありません。LTEは遅延が少ない通信規格ということもあり、発着信が非常にスピーディーに行えます。

 副次的なメリットとしては、LTEのまま通話が行えるため、通話しながらデータ通信を行うときの速度が高速になります。3Gの通話とデータの送受信を同時に行えなかったauでも、VoLTEではそれが可能になりました。

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 最大の特徴は音質が大きく高上していること。VoLTEでは音声をデジタルデータに変換するための「コーデック」を、「AMR」から「AMR-WB」に変更しています。

 これによって、VoLTEでは50Hzから7KHzの音声をやり取りできるようになりました。従来のAMRを使った3Gでは、これが300Hzから3.4KHzだったため、特に高音域、低音域ともに広がりが出ていることが分かります。声の高い人と通話するようなときに、その違いは一目瞭然。よりクリアに聞こえるため、数字などの聞き間違いも少なくなるはずです。

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 ただし、これはあくまでも対応端末同士で、しかも同じキャリア同士で通話した場合です。どちらか片方がVoLTE対応ではなかったり、他のキャリアだったりすると、相手側に音質が引っ張られてしまい、高音質通話にはなりません。発着信が高速になるという、“自分側だけ”のメリットはそのままですが、この点には注意が必要です。

 なお、こちらも、キャリアアグリゲーションと同様、ネットワーク側に加え、端末の対応も必要になります。

MVNOでもキャリアアグリゲーションやVoLTEは利用できる?

 最新技術のキャリアアグリゲーションやVoLTEですが、格安SIMと呼ばれるMVNOとも関係がないわけではありません。

 答えを先に言ってしまうと、MVNOでもこの2つの技術は利用できます

 キャリアアグリゲーションはあくまで基地局側と端末の技術のため、それをそのまま借りているMVNOでもそのまま利用できるというわけです。

 VoLTEも同様で、MVNOの音声通話は現状、回線を貸すキャリアのものとネットワークの設備は同じです。特別な制限はかけられていないため、MVNOでもこれらの技術は利用が可能です。

 

 ただし、ここまで説明してきたように、2つの技術はネットワークに加えて、端末の対応が必要になります。

 逆に言えば、端末がきちんとそろわなければ、利用できないのです。

 現状発売されているSIMフリー端末を見渡すと、キャリアアグリゲーションに対応した端末はほとんどありません。 数少ない端末としてあるのが、mineoの販売している「AQUOS SERIE」で、こちらは下り最大150Mbpsの速度が出せます。

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 また、例外としてiPhone 6、6 Plusがありますが、こちらはモデムの仕様で最大150Mbpsまでしか速度が出ず、ドコモ系MVNOではキャリアアグリゲーションを活かすことができません。auでは75Mbpsずつのキャリアアグリゲーションが使えるメリットはありますが、残念ながら「iOS 8」以降ではau系MVNOでのデータ通信が不可になっています。

 つまり、キャリアアグリゲーションを利用したい時は、ドコモ系MVNOならドコモ端末を、au系MVNOならau端末をどこかで買ってくる必要があります。

 

 VoLTEについても、同様です。

 こちらは、SIMフリー端末として唯一、iPhoneが正式にVoLTEに対応しています。実際、IIJmioのSIMカードを挿したiPhoneでは、以下のようにVoLTEで通話ができました。

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 ドコモ系端末でも利用でき、GALAXY Note EdgeにIIJmioのSIMカードを挿したところ、APN設定前からVoLTEのアイコンが点灯しました。

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 一方で、やはりiPhoneを除くSIMフリー端末はVoLTEに非対応で、これらを利用しようと思ったらキャリア端末を新古、中古などで買ってくる必要があります。au系MVNOについても、現状ではVoLTEに非対応です。

 SIMフリー端末で利用できないため、やや敷居が高くはなりますが、一方で高速や高音質化などのメリットも小さくありません。MVNOでも、こうした機能に妥協したくないという人は、キャリア端末を選ぶのが正解と言えるでしょう。


※編集部訂正(2015年7月2日)
記事中に「ARM」となっているところが2カ所、「ARM-WB」となっているところが1カ所ございました。
正しくは「AMR」と「AMR-WB」になります。お詫びして訂正いたします。

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