SIM入門

ドコモ端末をSIMロック解除して海外で使う際の、意外な落とし穴

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SIMフリー端末とドコモのSIMロック解除対応機種は、どちらも「SIMフリー」となり、好きな会社のSIMカードを挿して使える。という点では同じですが、実際に海外渡航時に現地のSIMカードで利用してみると利用できる機能や設定方法に違いがあります。

今回は「ドコモのSIMロック解除対応機種をSIMロック解除して海外で使う」際に注意すべきポイントをご紹介します。

※国内キャリアの販売する機種としては、ソフトバンクモバイルからもSIMロック解除対応機種が数機種発売されていますが、対応機種が非常に限定されているため、ここでは割愛いたします。

似ているようで異なる「SIMフリー端末」と「ドコモ端末のSIMロック解除」

ここで説明する「SIMフリー端末」は、「端末販売時からSIMロックがかけられていない機種」とします。日本国内では、旧イー・モバイル(現、ワイモバイル)から発売された「Nexus 5」や「Nexus 6」などのスマートフォンや、同じくイー・モバイル時代に販売されたモバイルWi-Fiルータ「GL01P」「GL02P」「GL04P」「GL06P」などが該当し、これらの機種については特にSIMロック解除などの手続きを行わなくても、好きな会社のSIMカードを挿して利用することができます。

それに対して、ドコモ端末のSIMロック解除にはSIMロック解除手数料として3,000円(税抜)の手数料が必要です。スマートフォンやiモード対応機種などについては、ドコモショップにてその場ですぐにSIMロック解除が可能ですが、モバイルWi-Fiルータやデータ通信端末については、SIMロックを解除する機種をいちど預けた上で、SIMロック解除手続き完了後に再度受取する必要があり、1週間から2週間程度の時間が必要となります。

ドコモ端末のSIMロック解除手数料はそれほど高額には設定されていません。とは言え、例えば年に1回程度の海外渡航あれば、モバイルWi-Fiルータのレンタルサービスなどを利用すれば十分。という考え方もできますので、SIMロック解除の手数料を支払う必要があるかどうかは、海外への渡航頻度や渡航先におけるSIMカードの販売価格や料金プラン、モバイルWi-Fiルータのレンタル料金などを考慮した上で決定すると良いでしょう。

APN設定を手動で行う必要がある

SIMロックを解除したドコモ端末を海外のSIMカードで利用する際、データ通信を行うために必要となるAPN設定を手動で行う必要があります。

Android端末のAPN設定画面

APN設定は、設定 > モバイルネットワーク > アクセスポイント名 などから設定を行います。
※設定手順の詳細は機種やOSバージョンによって異なります。 

APN設定は通信事業者やプランによって異なり、正しく設定しないとデータ通信を行うことができません。ただし、海外の事業者の中には「何かしらのAPNが設定されていれば通信が可能」となっている事業者もあります。

APN設定内容については渡航先のSIMカードの情報などをまとめた情報が掲載されているサイトでの事前確認や、可能であればプリペイドSIMカードの購入時に確認することをオススメします。また、場合によってはAPN設定内容がSIMカードのガイダンスなどに記載されている場合もあります。

台湾の亞太電信のサービスガイド。APN設定が記載されている。

ドコモから発売されている機種をドコモのSIMカードで使っている限りにおいては、特に意識することの無いAPN設定ですが、ドコモ端末 + MVNOのSIMカードで使う場合と同様に、海外の通信事業者のSIMカードを挿して利用する場合もAPN設定を正しく設定する必要がある。という点は覚えておきましょう。

APN設定は、スマートフォンであればスマートフォン単体で行うことができますが、モバイルWi-Fiルータを利用する場合は、モバイルWi-Fiルータ単体でAPN設定ができる機種が非常に限られています。そのため、各機種ごとのAPN設定方法については事前に国内で操作手順などを予習した上で、現地でAPN設定を行うことをオススメします。

ドコモのモバイルWi-Fiルータ『L-02F』のAPN作成画面
※ちなみに、L-02Fは単体でもAPN作成ができる数少ないモバイルWi-Fiルータです。

テザリング非対応の機種がある

SIMロックを解除したドコモ端末を海外のSIMカードで使う場合、テザリング機能が利用できない機種があります。

この問題は、ドコモのスマートフォンは、テザリング実行中のAPNが通常とは異なるAPNに強制的に切り替わるため、正しい設定しないとデータ通信ができない事業者の場合、APNが変更されることによって通信が行えなくなるためです。

少々ややこしいのは、通信事業者によっては「APNが指定の値でなくても通信ができる」事業者が存在している点と、ドコモの販売する機種の中には「ドコモ以外のSIMカードを利用中はテザリング中のAPNが切り替わらない」仕様となっている機種がある。という二点です。このため「ドコモ端末をSIMロック解除しても海外ではテザリング利用できない」とは一概には言い切れません。

フィリピン「Smart」のSIMカード + Xperia Z3 Compact(SO-02G)はテザリング利用可能だった

実は、このテザリングの問題については海外利用時よりも国内でサービスを提供するドコモのMVNOの方がより大きな影響を受けます。と言うのも、国内のMVNOではドコモの販売するスマートフォンなどをSIMロック解除手続きを行わなくてもデータ通信を利用することができますが、テザリングについてはSIMロック解除の有無とは関係無く、国内のドコモのMVNOのSIMカードでは利用できなくなっているためです。

海外ではLTEが使えない機種がある

SIMロック解除したドコモ端末を海外で利用する際、本来はLTEが利用可能であるにも関わらず、LTEが利用できないケースがあります。

筆者が過去に経験した事例では、LTE国際ローミング非対応機種である、あるいは対応しているLTEの周波数帯が異なるなどの理由のほか、これらの点に問題は無くても、一部キャリアと端末の組み合わせではLTE接続が利用できないことがありましたが、そういった場合の原因が何なのか、詳細は不明です。



台湾の亞太電信のSIMカードをGALAXY Note Edge(SC-01G)で使用。プランや周波数には問題が無いハズでもLTE接続ができなかった。原因は不明。

ただし、海外でLTE接続できない問題については、SIMフリー仕様の機種であっても発生することがあるため、必ずしもドコモ端末限定の問題とは言い切れません。 

台湾の亞太電信のSIMカードをSIMフリーのGALAXY Note 3(SM-N9005)で使用。
モバイルネットワークにLTEが表示されず、LTEが利用できない。

また、冒頭で紹介した旧イー・モバイルのモバイルWi-Fiルータについては、海外ではLTE接続を利用することができなくなっています。これは、これらのモバイルWi-FiルータがLTE国際ローミングに非対応であることが理由と考えられます。残念ながら、今後これらの機種がLTE国際ローミングに対応する可能性は低いと思われます。

データローミング接続を有効にしないと接続できない場合がある

SIMロックを解除したドコモ端末を海外で利用する際、原因は不明ですが「データローミング」を有効にしないと、データ通信が利用できない端末&キャリアの組み合わせがあります。

筆者が直近で経験した事例では、フィリピンの通信事業者「Globe」のSIMカードをXperia Z3 Compactにて使用時に、データローミングを有効にしないと通信ができない&データローミングを有効にしても接続種別(LTEや3G)が正しく表示されない。ということがありました。

フィリピン「Globe」のSIMカードをXperia Z3 Compactで使う

理論的にはローミング接続を有効にしなくても接続ができるハズなのですが、まれにローミング接続を有効にしないと、データ通信ができない端末&通信事業者の組み合わせがある点も覚えておくと良いでしょう。

ちなみに、このケースでデータローミングを有効にしても、実際にはローミング料金が発生するわけではないので、その点については安心できます。

まとめ:SIMロック解除は万能ではない

「好きなキャリアのSIMカードを挿して利用することができる」という点では、特に海外への渡航が多い方にとってはコスト的に非常にメリットの大きいSIMロックの解除ですが、今回紹介した事例のように、大小含めてさまざまなトラブルが発生することがあり、SIMロック解除は必ずしも万能な手段ではありません。

日本国内の動きとしては、総務省の定める「SIMロック解除に関するガイドライン」が改定され、2015年5月以降に新たに発売される機種については、減速としてSIMロックを解除することが義務付けられるようになり、SIMロック解除可能な機種の数は増える見込みですが、こういったトラブルが発生する可能性がある点には注意しましょう。

利用予定の機種が渡航先で問題無く使えるかは、機種名 + 国名(やキャリア名)などで検索してみると、使用レポートなどが公開されていることがありますので、渡航前に事前に情報を調べておくことをオススメします。 

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