SIM道場スペシャル

黒船が来たぞー!!通信業界を震撼させる「Apple SIM」は通信コストを押し下げるのか?

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 先週発表された新型iPad Air/iPad mini。今回の製品は従来製品の単純進化のみの印象で、大きなサプライズは無かった。というのが大方の見方のようです。しかし、それらと同時に発表された非常にインパクトのある製品がすでに各所で話題になっている「Apple SIM」です。
 本記事では現在わかっている範囲でこの製品がもたらす影響を予測・解説してみます。
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Apple SIMとは?

 Apple SIMとは、SIMカードを半仮想化することができる特殊なSIMカードです。
現在のスマホ・タブレットなどは、通信会社がそれぞれ発行したSIMカードを挿入することで、その端末で使用する通信回線を選択しています。
これは従来、1台の端末で複数の通信会社の回線を利用できるようにする仕組みとして広く普及し、現在に至っています。
しかし、以前は「複数の通信会社からSIMを買えば、使用できる」というメリットだったものが、「複数の通信会社のSIMを買わなきゃ使用できない」というデメリットとも取れます。
 そこに登場したのが「Apple SIM」です。これはappleが販売する、言ってみれば「まっさらのSIM」が本体に挿されていて、本体の画面上から契約したい通信会社を選択することで通信が利用できるようになる仕組みです。

ここまでのまとめ

●昔はSIMが差し替えられることがメリットだったけど、今はもうそれすらめんどくさい。
●Apple SIMは差し替えなしで通信会社を切り替えられる。

日本に投入されるとこうなるかも

 仕組み的には上記のとおりですが、これが日本市場に投入された場合どんな影響があるかを考えてみました。
結果的にはSIM道場で扱う「MVNO」「格安SIM」にとっては「いいこと」が多そうで、利用者にとっても「利便性向上」「通信費の節約」などのメリットがありそうです。

販売店での契約は不要になる?

 現在日本では、本体と通信回線をセットで販売する、「キャリア販売モデル」が多数を占めています。
これは、通信回線で収入を得ようとする通信会社が、自社契約獲得のために値引きや本体開発を行い、2年間の契約期間内で元を取ろうというモデルです。もちろんiPhoneもこのモデルに乗っており、各キャリアはSIMロックをかけることで自社との契約に縛り、値引きやキャンペーンを行っています。
このモデルをユーザー側から見た場合、「高価な本体を初期投資を抑えて購入できる」「本体のトラブルまで通信会社のサポートを受けられる」「本体の設定などが最小限で済む」などのメリットがあります。

 対してApple SIMが導入された場合、販売段階ではどのキャリアと契約されるかわからないため、キャリア側からの値引きやキャンペーンの実施はできなくなります。(もちろん、これはSIMフリー端末に限った話ですので、今後も日本のSIMロック版(キャリア版)端末がキャンペーン適用されて継続販売される可能性もあります。)
 店頭で購入してもキャリアのキャンペーンが適用されないSIMフリー端末を、店頭で購入するメリットはあまりありません。
となると、オンラインでSIMフリー端末を購入し、本体上から通信契約を行うということが日常的になって来るかもしれません。

MVNOとの契約がもっと身近になる?

 現在Apple SIMに対応している通信会社はアメリカ国内の3社とイギリスの1社のみです。これは推測ですが、iOS内に通信会社の情報などが書き込まれていて、対応エリアにある通信会社を電波判定して表示するものと思われます。
日本国内で同様の仕組みを作ろうとした場合、SIMロック版用のプランを販売する大手キャリアと契約するより、MVNOの格安プランを利用するほうが合理的ですので、今後MVNO各社はiOS内に自社情報を組み込んでもらい、Apple SIMからの契約獲得ができるように取り組んでいくのではないでしょうか。
もっとも、Apple SIMの技術的要素がはっきりわからないため断言はできませんが……。

 ただし、これが実現すると現在よりMVNO契約がずっと身近になり、ユーザー側での設定変更などもかなり簡単になると思われます。

ここまでのまとめ

●販売店ではキャリア版、オンラインでApple SIMがついたSIMフリー版を購入するようになる
●SIMフリー版は本体上で通信契約をサクッと完了させられるようになる
●本体上から契約できる通信会社一覧にMVNO各社が入る(かも)

最後のまとめ

 というわけで、Apple SIMが日本市場に投入された場合、SIM道場でおすすめしているMVNO各社の通信契約がもっとメジャーになってくると思われます。
昨今話題になっている国内でのSIMロック解除義務化のこともあり、appleがキャリア向けSIMロック版をいつまで販売するのか、ということも含めて国内の通信会社、販売代理店には非常にインパクトのある製品です。間違いないのは、この先数年間で既存の携帯電話のビジネスモデルは大きく変わり、MVNOとともに新しい時代がやってくるということでしょう。

 いちユーザーとしては、こうした流れによって通信コストが下がることは大歓迎ですし、今後の展開が非常に楽しみです!
以上、Apple SIMから読むSIM道場的未来予測でした!
※本記事内の見解は当サイトの独自のものであり、未来を保証するものではございません(笑)

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狭間しむを
携帯電話会社の中の人。 新しい物・ガジェットとアウトドア好き。 最近のブームは登山と格安スマホ。 好きな言葉は「SIMフリー」。 「さしかえたっていいじゃないか。しむふりーだもの。」しむを