iPhone XS、XS Maxと同時に発売され、注目を集めているのがセルラー通信に対応したApple Watch Series 4です。

 同モデルは、これまでのApple Watchをフルモデルチェンジしており、ディスプレイも約3割程度大型化。これまで38mmと42mmの2モデル構成でしたが、ディスプレイが変わった結果、ボディも38mmは40mmに、42mmは44mmにと、それぞれ2mmずつ大きくなっています。センサーも一新しており、高速化した恩恵で、新たに転倒検知機能も加わっています。
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Apple Watch Series 4

Apple Watch Series 4のeSIMはMVNOで使えるか?

 Apple Watch Series 3から引き続き搭載されているのが、eSIMです。セルラー対応モデルは、このeSIMを使って単独で通信することが可能。データ通信ができるのはもちろんですが、iPhoneに入れたSIMカードと同じ電話番号を使って、電話の発着信もできます。

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eSIMを内蔵しており、単独で通信可能

 通常、iPhoneがそばにあるときはBluetoothで通信しますが、Apple Watchだけを外出先に持ち出したようなときは、単独の携帯電話として利用できるというわけです。Apple Watch Series 4は画面が大型化していることもあって、各種アプリが見やすいため、単独での使い勝手も上がっています。

 ただ、Apple Watchで同じ電話番号を利用するためには、それぞれのキャリアのサービスに加入する必要があります。ドコモは「ワンナンバー」、auは「ナンバーシェア」、ソフトバンクは「Apple Watch モバイル通信サービス」とそれぞれ名称が異なりますが、ほぼ同じサービスです。現在、大手キャリアのみが提供しているサービスとなり、MVNOで同様のサービスを提供している会社はありません。

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ナンバーシェアなどの専用サービスが必要

 iPhoneを正規に取り扱っているMVNOは大手キャリアのサブブランドに限られているうえに、Apple Watchのセルラーモデルを販売しているMVNOがないのがその理由といえるでしょう。試しに、MVNOのSIMカードを入れたiPhoneからApple Watchアプリを開いてモバイルデータ通信をチェックしてみましたが、やはりeSIMに情報を書き込むことはできませんでした。

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mineoのSIMカードを挿したところ、非対応との表示が

無理やりApple Watchでモバイルデータ通信を使う方法も

 とはいえ、モバイルデータ通信ができるApple Watchと、MVNOのSIMカードが入ったiPhoneを同時に使うことができないわけではありません。iPhoneとApple Watchで電話番号が異なってしまうなどのデメリットを我慢すれば、Apple Watchを単独で使えるのです。

 実は昨年、Apple Watch Series 3で同様の“裏技”を試してみました。

MVNOでも使える? Apple Watch Series 3を単独で使う裏技 : 押忍! SIM道場

 Apple Watch Series 3は、初の通信機能を内蔵したスマートウォッチ。LTEのカテゴリー1を使って単独で通信できるため、これまでのApple Watchとは異なり、iPhoneがない場所でも利用可能です。ランニングなどにiPhoneを持ち歩かなくてもよくなるだけに、待望の機能といえるで

simdojo.jp

あまり引っ張ると怒られてしまいそうなので、結論からいうと、そのときと同じ方法であればこれはできました。その裏技とは、Apple Watchは大手3キャリアのいずれかを使い、iPhoneはMVNOのSIMカードで使うというものです。eSIMに契約者情報を書き込むときだけiPhoneに3キャリアいずれかのSIMカードを入れるというわけです。

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iPhoneはmineo、Apple Watchにはau回線が入った状態

 ただし、Apple Watchは、BluetoothでiPhoneと接続した際にモバイルデータ通信のキャリアが一致しているかどうかをチェックしています。そのため、一度3キャリアのeSIMを書き込んだあと、iPhoneのSIMカードをMVNOのものに入れ替え、再度Bluetoothで接続すると、Apple Watch側のSIMカードが非アクティブになってしまいます。

 これを避けるには、Apple WatchにeSIMの情報を書き込んだあと、iPhoneのBluetoothをオフにしてからSIMカードをMVNOのものに入れ替える必要があります。こうすれば、Apple Watchが大手キャリアの回線のままになり、iPhoneは入れ替え後のSIMカードで通信できるようになります。

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Bluetoothを切ったあとiPhoneのSIMを入れ替えたが、Apple Watchはau回線のままに

データ利用量を最低限に抑えればコストも許容範囲か?

 この裏技を使うと、結局のところ、MVNOのSIMカードに加えて、Apple Watch用に大手キャリアの回線を契約することになるため、当然ながら、オプションサービスとしてApple Watchを追加するだけでいい大手キャリアよりも、追加分の必要はかさみます。

 ただ、昨年とはやや状況が変わっており、au以外も段階制のデータ通信プランを導入しているため、コストは抑えやすくなりました。auのピタットプラン、ソフトバンクのミニモンスターは、ともに1GBまでは2980円(1年目の割引やキャンペーン等は除く)。ドコモも、5月からベーシックパックがスタートしており、シンプルプランと組み合わせると、4180円で利用できます。1
3社ともに段階制プランがあり、1GB未満での維持費用が安くなっている。画面はソフトバンクのミニモンスター

 たとえば、メインのスマホをIIJmioのファミリーシェアプランで使うと、データ容量は12GBで3260円。これにauのピタットプランとナンバーシェアを足した3330円が加わると、料金は合計で6590円になります。

 MVNOユーザーの感覚からすると高いと思われるかもしれませんが、もっとも容量の近い20GBのauフラットプランでナンバーシェアを契約すると、料金は6350円とほぼ同じ。IIJmio側でそこまでデータ通信を使わない場合は、6GBのライトスタートプランを選ぶと2220円になり、auぶんと足しても5550円で済んでしまいます。

 同じ6GBのプランがauにないため、厳密な比較はできませんが、auピタットプランで5GB未満に収めても、ナンバーシェアとの合算料金は6330円。MVNOとauで分けた方が割安になるため、あながちApple Watch用に大手キャリア回線を別途持つのが損とは言い切れません。

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MVNOの料金が安いため、iPhoneとApple Watchで回線を分散させた方がコストを抑えられることも

 ちなみに、Apple Watchはモバイルデータ通信がないと使えないわけではなく、契約はあくまでオプション扱い。単独で持ち出すことがないのであれば、無理やり契約する必要はありません。この場合、iPhone側がMVNO契約でもまったく問題はないので、一般的かつコストを抑えるにはこれが最適です。

 また、Apple Watchはセルラーオンリーで使うとバッテリーの消費が速くなるなどのデメリットもあります。ここで紹介した裏技は、実用度を重視したものではなく、あくまで技術的に可能かどうかを検証しただけにすぎません。お金もかかってしまうため、“大人の道楽”の1つと捉えていただければ幸いです。

IIJmio(みおふぉん)