現地SIMのルーター運用で快適なイギリス旅行


 少し早めの夏休みを利用してイギリスに旅行してきました。海外渡航でなによりも心配なのが現地での通信環境の確保。欧米はホテルや飲食店がほぼWi-Fi完備とはいえ出先でちょっと調べ物をしたり、Google mapを活用したりしたいもの。と言うことで、今回はイギリス渡航時、実際に私が利用したSIMとルーターの使い方をご紹介します。


 なお、本記事は2018年6月時点の情報であり、記事中のレートは1ポンド(GBP)=148円(記事執筆時のレートを適用)にて算出しております。


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まずは国内で『保険』としてのSIMを購入


 イギリス現地でプリペイドSIMを購入するつもりではあったものの、「安く手に入らなかったら嫌だ」、「うまく通信できなかったらどうしよう」と妻が仕切りに心配することもあり、『保険』の意味も込めて日本国内でもSIMを買っておくことにしました。


 そこで羽田空港国際線到着ロビーにあるビックカメラへ。


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Air BIC CAMERA羽田空港国際ターミナル店は2F到着ロビーにあります

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ビックカメラに来たらやっぱりBIC SIM


 店頭の目立つところにありました。こちらの海外トラベルSIMを迷わず購入。これを手持ちのWi-Fiルーターに挿して利用します。


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パッケージを空けるとこんな感じ。SIMは3サイズに対応


 今回使用したのはNEC製のモバイルルーター『Aterm MR05LN』。連続動作時間10時間以上、SIMが2枚挿せる、タッチパネルで操作できる、など使い勝手の良い筆者お気に入りのルーターです。


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附属の説明書に沿って設定を開始


 SIM挿入時に忘れてはならないのが、『APN』の設定。ルーターでもAndoroid同様のAPN設定でOKでした。また、筆者が少々つまずいてしまったのが『国際ローミング設定』。スマートフォンやパソコンのブラウザから国際ローミングをONにする必要がありました。こちらは下記ユーザーマニュアルサイトをご参照ください。


■Aterm MR05LNユーザーズマニュアル:海外に出かけたときに使う

http://www.aterm.jp/function/mr05ln/guide/roaming.html


■APN設定についてはこちらを参照:格安SIMで設定が必要な「APN」って何?なぜ必要なの?

http://simdojo.jp/archives/25196109.html


 加えて、IIJmioの専用サイトでプランの申し込みも必要です。こちらはスマートフォンから簡単にできました。


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IIJmioのSIMを利用するためには専用サイトで申し込みを忘れずに!


 お店でSIMを購入してから、

 ・ルーターのAPN設定、国際ローミング設定(日本のSIMを海外で使うため)をする

 ・IIJmioの専用サイトでプランの申し込みをする

 をそれぞれ行うこと約15分・・・


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タッチパネル左上に「3G」の表記!


 3Gの電波を掴みました!これで現地で通信できることが確認でき、妻も一安心。あとは飛行機に乗り込んで現地到着を待つのみです。



ヒースロー空港で現地のプリペイドSIMを購入


 飛行機で揺られること(?)約11時間。イギリスのヒースロー空港に到着しました。この空港、入国審査が異常に長いと噂の空港だったので2時間待ちくらいは覚悟していたのですが、この日は意外なことに30分程度で入国できてしまいました。ちなみに日本で準備したSIMはヒースロー空港で問題なく使えました。よしよし。


そしていよいよ現地SIMの購入。さてどうしようかな、と荷物がでてくるのを待っていると・・・


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あ、もう見つけちゃった。


 現地でSIMを買う先を探すところから楽しもうと思っていましたが、入国早々SIMの自動販売機を見つけてしまいました。これはもうここで調達するしかありません。


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自販機のアップ。ここでは4種類のSIMが買えるようです


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自販機上段


 最上段にあるのがイギリス現地のMVNO、Three(スリー)が提供しているSIMカード。今回はイギリスのみの滞在ですが、ヨーロッパ各国を広くカバーしているサービスのようです。12GBで30ポンド(=記事執筆時点で約4,440円)だったので1GBで約370円。ちなみに通話やSMSも使えるようですが、今回はルーターでの運用が前提なので、データ通信量と価格のみをチェックしています。


 2段目はLyca mobile(ライカモバイル)。Three同様イギリスを本拠地としたMVNOのようです。こちらは6GBで25ポンドのSuper25(1GBあたり約617円)と15GBで35ポンドのUltra35(1GBあたり約345円)の2種類のプランを用意していました。ちなみどちらのプランもイギリス国内の通話が30日間無制限!


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自販機下段


 3段目はEE(Everything Everywhere)。欧州大手通信事業者であるOrangeUKとT-モバイルとの合弁会社。EEはMVNOではなく、通信事業者の位置づけかつイギリスではシェア1位。イギリスのドコモ、と表現すれば分かり易いでしょうか。


EEではLyca mobile同様2種類のプランを用意していました。EE National Bundleは10.5GBで20ポンド(1GBあたり約282円)。EE International Bundleは13GBで25ポンド(1GBあたり約285円)。ちなみにEEは30日間の有効期間内であればEE同士の通話が無料になるようです。EEは大手事業者の子会社だけあって街中にショップがあったりします。万が一に備えてリアル店舗に駆け込みたい、というケースが想定される場合はこのSIMを選ぶと良いかもしれません。


 最下段はLebara mobile(写真では少々見にくいですが…)。こちらの自販機ではInternational Bundleという500分国際通話がかけられるプランのみの提供。データ容量は1GBで25ポンドなので、私の今回のルーターでデータ通信専用という使い方には合いません。出張などでイギリスに行った際に「スマホに直接入れて、日本との通話メインで使いたい」などの使い方には向いているかも。


 こうやって比較してみると各社データ通信量だけでなく、国内通話やSMS、国際通話などで差別化しているのがとても面白いです。ちなみに含まれているデータ量とSIM代金、1GBあたりの通信料で比較すると下記の通り。


サービス

SIM代金

データ量

1GBあたりの通信料

Three All in One Bundle

30ポンド

12GB

2.50ポンド(約370円)

Lyca UK Plan Super 25

25ポンド

6GB

約4.17ポンド(約617円)

Lyca UK Plan Ultra 35

35ポンド

15GB

約2.33ポンド(約345円)

EE National Bundle

20ポンド

10.5GB

約1.90ポンド(約282円)

EE International Bundle

25ポンド

13GB

約1.92ポンド(約285円)

Lebra International Bundle

25ポンド

1GB

25ポンド(約3,700円)

※1ポンド(GBP)=148円にて算出


 やはりシェアナンバー1の事業者であるEEが1GBあたりの通信料では有利な様子。ここはEEを選ぶのがベターではあるものの、今回はSIM道場への寄稿記事ということで(?)、MVNOであるThreeのSIMを購入することにいたしました。


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タッチパネルで各社のサービス概要が確認できる。残念ながら日本語非対応…


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タッチパネルを操作して購入


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いとも簡単に現地SIMをゲットしました


 無事、ヒースロー空港にて現地SIMを確保。荷物受取の出口付近にあるので見逃さないとは思いますが、この自動販売機はとても便利なので覚えておいて損はなさそうです。


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ちなみに自動販売機はターミナルを出てすぐのところにもありましたし、


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 有人のSIMカウンターもヒースロー・エクスプレス(ロンドン市内へ向かう有料特急電車。15分ほどでヒースロー空港からパディントン駅までいけるのでおススメです)までの通路にありました。設定などが心配な方はこちらを利用するのも良いかもしれません。


 はやる「アクティベーション欲求」を抑えつつ、まずは電車で移動します。…と、ここで日本国内でもすでにSIMを確保していたことを思い出しました。


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 はい。問題なく3Gの電波を掴んでいます。初日は電車での移動と夕食だけなのでこのSIMを使って活動。もちろん問題なく利用できました。



現地のプリペイドSIMの設定!


 初日は日本で確保したSIMで過ごし、2日目から現地で手に入れたThreeを活用。まずは設定からです。


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パッケージを開くとこんな感じ


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説明書の裏面


 この説明書だけを見ると分からないところもありましたが、利用開始までには

 ・ルーターのAPN設定とローミング設定

 ・SMSを利用したSIM利用開始のアクティベーション

 ・Threeのサイトでのユーザー登録(任意)

 の3ステップが必要なようです。ちなみにユーザー登録すればデータ容量の残高確認やチャージができるようですが、私は登録せずに利用しました。


 まず、APN設定についてですが、

 ・APN:three.co.uk

 ・User name:なし

 ・Password:なし

 と非常に簡単でした(ルーターでの利用の場合)。スマートフォン利用におけるMMS proxy/portなど詳細の設定は下記URLをご参照ください。


■Threeサイト

http://support.three.co.uk/SRVS/CGI-BIN/WEBISAPI.DLL?Command=New,Kb=Mobile,Ts=Mobile,T=Article,varset_cat=internetapps,varset_subcat=3582,Case=obj(3586)


また、SIM利用開始にはSMSが必要なため、ルーターだけではアクティベーション出来ない点は注意が必要です。

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普段はワイモバイルSIMを挿して使っているSIMフリースマートフォンを利用


 私はSIM利用開始のために持っていたSIMフリースマートフォンを利用しました。スマートフォンにSIMを挿し、APNにthree.co.ukを設定すると・・・


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SMSが3通届き利用開始。右上に「4G」のマークが!

 特に操作せずに3通のSMSが届き、これで利用できるようになりました。わざわざ専用サイトで申し込んだりする必要もなく、本当に簡単。そしてスマートフォンからSIMを抜き、ルーターに差し込むと・・・


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左上にLTEの文字!


 LTEの電波を見事掴みました。何度経験してもこの瞬間にとても達成感を覚えるのは私だけでしょうか。



気になる通信速度チェック


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ロンドン中心地のリージェント・ストリート。日本でいうところの銀座中央通り?


 さっそく街に出て速度チェックしてみました。まずは日本で調達したBIC SIMの海外渡航SIMをチェック。


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 下りで4.51Mbps。このSIMカードは3Gですからこんなものでしょう。


 続いて、現地で調達したThreeのSIM。


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 下りで17.0Mbps!これだけ速度が出ればばっちりですよね。実際使用感もまったく問題なく、旅行期間中はワールドカップだったこともあり、カフェでサッカーを観たりしましたが非常に快適でした。Three、お勧めです。


 ちなみに、調べてみて知ったのですが、ThreeでLTEが使えるのはイギリスのみとのこと。欧州各国でも利用できる、と謳っているものの、イギリス以外では3Gのみ利用できるようです。このあたりはまた次の機会に使用感を確認してみようと思います。


 また、ThreeはMVNOながらにリアルショップも構えていました。


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オックスフォード・ストリートにあるリアルショップ


 万が一の場合に備えて、リアルショップの場所は押さえておいた方が良いかもしれませんね。参考までに住所は次の通りです。297 Oxford St, Mayfair, London W1C 2DY



なぜ海外SIM×ルーターが便利なのか


 少々いまさら感がありますが、私がおススメする「海外SIM×ルーター」の運用方法には次のようなメリットがあります。


1.海外SIMを使えばデータ容量が多く、しかも安い

 ご利用になられたことがある方はご存知かと思いますが、日本でルーターレンタルなどをすると、LTEで日1,200円程度かつ500MB程度、というのが多いと思います。7日間渡航していたらこれだけで8,000円超。しかも使える容量も少々心もとないですよね。海外でプリペイドSIMを購入すれば1GBで500円弱ですから、価格メリットは大きいと言えます。


2.ルーターを使えば複数のデバイスが使える

 そしてルーターを使うところもポイントです。海外SIMの多くはテザリング非対応ですので、複数人でSIMを使いたいなら人数分(デバイス分)のSIMを購入する必要があります。ところがルーターに挿せば1枚のSIMで10台分程度(これはルーターのスペック次第ですが)の通信が可能です。家族や友人と海外に行く際や、複数のデバイスでの利用を考えている方はこのルーター利用がとても便利です。


3.日本の電話番号をそのまま使える

 そして地味に助かるのがこれ。普段使用しているスマートフォンに現地SIMを挿してしまったら日本の電話番号は使えなくなりますから、国内からの着信などは一切できなくなってしまいます。仕事の電話などを受ける可能性がある方にとっては、普段使用しているスマートフォンはそのまま番号が使えるに越したことはありませんよね。



 また、「海外でSIMを買うのは不安」という方には今回私がしたように、国内で海外渡航用のSIMを買う、という手段もおススメです。BIC SIMの海外渡航用SIMの場合は、SIM代金と合わせて約8,000円で500MBと割高感はありますが、SIM自体は1年間有効ですので次の渡航時はデータ利用の3,850円で済みます。海外からでも利用開始できるので、一枚『保険』として持っておくのも良いかもしれません。


 以上、海外SIM×ルーター、そして『保険』としての海外渡航SIMの運用をレポートさせて頂きました。


(追記)

 今回の8日間のイギリス滞在で利用したデータ量は約3.5GB。ホテルのWi-Fiが非常に快適だったこともあり、予想より利用していませんでした。12GBは余裕がありすぎたかもしれません。こちらもご参考まで。