中国・上海で、携帯電話関連の業界団体GSMAが主催する「Mobile World Congress Shanghai」が開催されました。筆者も、この展示会を取材するため、上海に出張。その内容は……といこうかと当初は考えていましたが、海外向けの内容が多かったため、あえてスルーして、今回は現地で役立ったApple Payのお話をしていこうと思います。

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上海でもApple Payで地下鉄に乗れる!

 日本では、iPhone 7、7 Plusの発売と同時に対応が始まったApple Payですが、売りの1つは、FeliCaを搭載し、Suicaを使えることでした。これと同様、実は海外でも、交通機関の決済手段が徐々にApple Payに対応し始めています。上海もその1つで、今年の3月にβ版として、上海交通カードがApple Payで利用できるようになりました。

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上海交通カードがApple Payに対応。日本語のサポートページも用意されている

 上海では、日本と同様、地下鉄やリニアモーターカーの改札にNFCの読み取り機が設置されており、この上海交通カードをタッチして通過します。便利な反面、日本でモバイルSuicaに慣れていると、カードをポケットなどにしまっておくのが面倒。紛失のリスクもあるため、できればケータイにまとめてしまいたいところです。

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上海交通カード


 以下で解説するように、旅行者にはいくつかの制約もあり、必ずしも使い勝手がいいとはいえませんが、Apple PayやApple Pay対応のApple Watchを持っているのであれば、試してみない手はありません。以下で、その方法を紹介していきます。

iPhoneの設定を「中国」に変更、カードを追加

 まずやらなければならないのが、iPhoneの国を変更することです。日本で購入し、利用しているほとんどのiPhoneは、初期設定のまま「日本」になっているはずです。これが日本のままだと、Apple Payを設定するWalletアプリに、上海交通カードが現れません。そこでまずは、国設定を中国に変更します。

 手順は次のとおり。「設定」を開き、「一般」→「言語と地域」と進み、「地域」をタップしてから国を探します。キーワード検索で「中国」を探して、「中国」をタップしましょう。「完了」をタップし、「地域を中国に変更しますか」というアラートが出たら、「続ける」をタップしてください。これで準備は完了です。

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iPhoneの地域を「中国」に変更

 続いて、上海交通カードをWalletアプリに追加していきます。Apple Payで利用するカードが登録されているWalletアプリを開き、右上の「+」ボタンをタップし、次の画面では「続ける」をタップします。すると、「交通系ICカード」の欄で、「Shanghai Transit Card」が選択できるようになっているはずです。これをタップすると、上海交通カードを追加することができます。

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WalletアプリでShanghai Transit Cardを追加

 ただし、中国国内で有効な銀聯カードがないと、上海交通カードの発行に必要な金額をチャージすることができません。この段階で、旅行者にはかなりハードルが高い作業といえるでしょう。筆者は、もう1つの、物理的なカード情報をiPhoneで吸い出す方法を使いました。この手段を利用するには、事前に20元以上がチャージされた、上海交通カードを用意する必要があります。

 上海交通カードを用意したら、画面上に表示されている「既存のカードから残高を転送」をタップしてください。次の画面でカードに記載されているカード番号の頭4桁を入力し、「次へ」をタップしたあと、規約に同意すると、カードの読み取りが始まります。カードをiPhoneの先端にくっつけ、しばらくたつと、iPhoneに上海交通カードが追加されます。

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旅行者は既存のカードから残高を転送しよう

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カードをiPhone上部につけ、読み取らせる

 筆者は今回、Apple Watchで上海交通カードを利用してみたかったため、ここからもうひと作業必要になりました。Apple Watchを制御するWatchアプリを開き、「WalletとApple Pay」を選択。「上海公共交通カード」を「追加」すると、先ほど登録した上海交通カードがApple Watchに転送され、利用できるようになりました。

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上海交通カードをApple Watchに転送

エクスプレスカードの設定を忘れずに、チャージも一苦労

 日本でSuicaを設定している場合、エクスプレスカードの変更も必要になります。エクスプレスカードとは、iPhoneの起動や認証不要で決済を行う仕組みのこと。すでにSuicaが設定されている場合、これを上海交通カードに変更する必要があります。Apple Watchのエクスプレスカードは、iPhoneのWatchアプリから変更できます。

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エクスプレスカードをSuicaから上海交通カードに変更

 これで準備は完了。あとはApple Watchを、改札の読み取り機にかざすだけです。実際に試してみた印象では、Suicaほどのスピードはありませんが、エラーが出ることもなく、カードと同じように改札を通過することができました。常に腕に巻いているApple Watchなら、カードやiPhoneをポケットから取り出すよりもスムーズです。

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Apple Watchでも、スムーズに決済できた

 ただし、登録時と同様、オンラインでのチャージには銀聯カードが必要になります。ここでつまずいてしまう人も多いでしょう。筆者は、駅に設定されているチャージ機でチャージしました。とはいえ、このチャージ機も現金は受け付けておらず、WeChat PayをはじめとするQRコード決済にしか対応していません。筆者は幸い、すでにWeChat Payのアカウントを持っており、中国出張に合わせて日本で現金をチャージしていたため、問題なく残高を追加できましたが、これらの支払い手段を用意していない人は、せっかくApple Payに上海交通カードを追加しても、使い切りになってしまいます。

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オンラインチャージには銀聯カードが必要

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チャージ機からチャージはできるが、WeChat Payなどが必要

 ちなみに、出張時に同業者が試した限りでは、現在、WeChat Payの新規アカウント開設に、日本のクレジットカードを使用することができなくなっていたようです。何らかの手段を用意していないと、継続的に使うのが厳しいというのが現実です。こうした決済方法を準備してあれば快適に使えるApple Payですが、一筋縄ではいかないようです。β版から正式版になるとき、チャージできるクレジットカードが拡大することを期待しています。

 なお、Apple Payの新規登録時にはネット接続も必要になるため、格安SIMを使っている人は、注意が必要です。ほとんどの格安SIMは、国際ローミングに対応していないためです。海外で通信できる海外用SIMを用意しておくなど、事前にしっかり準備しておくようにしましょう。