昨年12月に民事再生法の適用を裁判所に申請し、事実上の経営破綻に陥っていたプラスワン・マーケティング。同社がFREETELブランドで展開する端末も、発売できない状態が続いていました。これを救済したのが、クラウドSIMを使ったWi-Fiルーターを展開するMAYA SYSTEMです。

 FREETELブランドや端末の製造はMAYA SYSTEMが引き継ぐ格好になり、2月16日には、新生FREETEL第一弾となる、「REI 2 Dual」が発売されています。また、2月23日には、廉価モデルの「Priori 5」が発売予定。ここでは、その2機種を紹介していくとともに、MAYA SYSTEMが運営元になった新生FREETELの戦略を紹介していきます。

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デュアルカメラ搭載で、ナチュラル美顔も売りのREI 2 Dual

 REI 2 Dualは、旧FREETEL時代にフラッグシップモデルとして発売された「REI」の後継機。一番の特徴は、背面にデュアルカメラを搭載している点です。デュアルカメラは、片側カラー、片側モノクロの仕様で、モノクロで撮影した画像にカラーセンサーで色付けしています。デュアルカメラといっても、その仕様は様々ですが、ファーウェイのPシリーズなどに近いと言えるでしょう。

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REI 2 Dual

 2つのカメラの焦点距離の違いを活かし、背景に一眼レフで撮った写真のようなボカシをかけることもできます。写真には深度も記録されるため、後から撮った写真のボケ具合を変更することも可能です。前面のカメラは単眼ですが、1600万画素と高画素。こちらは美顔モードを売りにしています。MAYA SYSTEMによると、やりすぎない自然な補正を目指したとのことで、名称も「ナチュラル美顔」になっています。

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背面にはデュアルカメラを搭載。背景をボカした撮影が可能に

 日本人は他のアジアの国々の人と比べ、しっかり化粧をする文化がありますが、その状態で美顔効果をかけてしまうと、化粧の厚塗り状態になってしまいます。これを軽減するため、MAYA SYSTEMでは、日本の環境で何度もテストを重ねたといいます。今回の端末から、企画、設計を完全に日本に移しているため、こうした開発が可能になったそうです。

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インカメラは「ナチュラル美顔」機能が特徴

 スペック的な特徴としては、メインストリームの端末として、初めてクアルコムのSnapdragon 625を採用した点が挙げられます。これまでのFREETEL端末は、MediaTek製のチップセットが多く、Snapdragonを採用しているのは、Windows 10 Mobileスマホなど、一部にとどまっていました。Snapdragonを採用することで、ゲームなどのアプリがきちんと動作しやすくなったのがメリットです。
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チップセットには、Snapdragon 625を採用

 また、大手3社のVoLTEをサポートしたり、DSDSに対応したりと、スペック的にはSIMフリースマホのトレンドがしっかり押さえられています。緊急地震速報やJアラートに対応していることが名言されたのも、安心なポイント。価格はやや高めの3万6800円ですが、スペック相応といえそうです。

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3キャリアのVoLTEやDSDSに対応

電池交換可能で1万円台で買えるPriori 5

 もう1機種のPriori 5も、チップセットはSnapdragonになりました。こちらにはローエンド向けのSnapdragon 210が採用されており、メモリも2GBとスペックは抑えめです。一方で、価格は1万6800円と、お手軽に買うことができるのが特徴となります。

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低価格モデルのPriori 5

 Priori 4で廃止されてしまったバッテリーの交換も、復活しました。背面のカバーを取り外すとバッテリーパックが現れ、これをユーザー自身が交換できる仕様です。最近では、バッテリーを内蔵して交換できない端末が一般的ですが、この仕様であれば、電池が持たなくなってきたときに、修理不要で交換できます。

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ユーザー自身の手でバッテリー交換が可能に

 バッテリーが単体で販売されていれば、なおよかったのですが、残念ながら現時点では未定とのこと。バッテリー単体で充電できるチャーチャーがあれば、バッテリー切れの際にバッテリーを交換するだけで、すぐに100%までバッテリーが復活するため、こうしたオプション品もほしいと感じました。

 背面のカバーを交換できる特徴を生かし、パッケージには6色のカバーが同梱されています。バッテリー交換だけでなく、着せ替えも楽しめるというわけです。Snapdragon 210を搭載していることを考えると、ゲームなどをするには力不足な印象はありますが、電話を中心に、たまにネットを使うというユーザーにはいい端末かもしれません。

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パッケージには、合計6枚のカバーが付属する

新生FREETEL、復活のカギはeSIMにあり?

 もっとも、この2機種は旧FREETEL、つまりPOM社時代に企画や開発がスタートした端末で、MAYA SYSTEMはその販売を引き継いだだけにすぎません。スタッフの多くもMAYA SYSTEMに移籍しているため、端末の製造については心配不要ですが、同社らしい特徴はまだまだ薄いのも事実です。

 では、MAYA SYSTEMとしてどのような端末を開発していきたいのでしょうか。その答えは、冒頭で軽く触れた、jetfiにありました。jetfiとは、中国・香港に拠点を持つuCloudlink社のクラウドSIMという仕組みを使ったWi-Fiルーターのこと。Wi-Fiルーター側には、いわゆるeSIMと呼ばれる、書き換え可能なSIMカードが内蔵されています。ここに、各国のSIMカードの情報を書きこむことで、世界中で割安な通信が使えるというのが、jetfiの特徴になります。

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MAYA SYSTEMが元々展開していたクラウドWi-Fiルーターのjetfi

 このeSIMを、スマホ側に搭載していきたいというのが、MAYA SYSTEMの狙いです。同社がスマホ製造のノウハウを持つPOM社からFREETELブランドを引き継いだのは、そのため。実現すれば、普段は国内用のSIMカードで通信しつつ、海外渡航時だけはeSIMを使うといったことが可能になります。

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スマホにもeSIMを搭載していく予定

 実はMAYA SYSTEMもPOM社と並行してスマートフォンを開発していたといい、eSIMを搭載したスマホ自体は、夏ごろの発売を目指して開発が進められています。FREETELらしいデザインや機能を持った端末との融合は、来年以降になりそうです。ただ、eSIMという武器が加わったことで、FREETELの売りがより明確になりました。その意味で、まずはeSIM対応スマホの第一弾には、期待しておきたいところです。