AIの処理に特化したNPUを内蔵する「Kirin 970」。このチップセットをいち早く搭載したのが、ファーウェイのMate 10 Proです。同モデルは、SIMフリー市場で2017年12月に発売。フラッグシップモデルのため、価格は税込みで9万円を超えていますが、それだけの価値があるスマホとして高い人気を誇ります。そんなMate 10 Proの実力を、2カ月弱使ってきた筆者が実力を評価します。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

明るくなったカメラ、AIでシーン認識も速い

 AIがフィーチャーされがちなMate 10 Proですが、ユーザーが実際に体感できるところは、あまり多くありません。処理能力が高くレスポンスがよかったり、翻訳アプリがサクサク動いたりといった点は、Kirin 970の実力といわれているものの、体感できるかどうかは別の話です。

 その中で、もっとも分かりやすいのはカメラでしょう。Mate 10 Proは、シーンを自動で判断して、最適なモードを選択する機能が搭載されています。このシーン選択が速く、適切で、普段使う機能のなかでは、もっともAIの恩恵を感じられる部分かもしれません。

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判別したシーンは、右下にアイコンで表示される

 それ以上に、カメラのクオリティが高く、仕上がりの満足度が高いと感じました。過去のファーウェイ端末と比べても、写真がとにかく明るい。これは、両方のレンズがF値1.6と明るいため。写真が暗くなりがちな室内や、夜景などがキレイに撮れて、ノイズも少ない印象。ライカと共同開発しているだけに、色の鮮やかさにも定評があります。

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Mate 10 Proで撮った写真。色鮮やかで、暗い場所でのノイズも少ない

 背景ぼかしもお手の物。強調したい被写体がクッキリ浮かび上がるワイドアパーチャー機能の性能は健在で、距離感の認識も正確です。フォーカスの位置やボケ具合はあとから変えることが可能。デュアルカメラの先駆け的なメーカーだけに、カメラの性能は折り紙付きといえるでしょう。

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背景がキレイにボケる、ワイドアパーチャー

18:9の縦長有機ELディスプレイが便利

 ディスプレイは、ファーウェイのスマホとして初の18:9になりました。18:9のディスプレイは、サムスンやLGなどの韓国メーカーが率先して搭載してきましたが、縦に長い分、情報量の多さと横幅のスリムさを両立できます。Mate 10 Proが片手で持ちやすいのも、そのためです。

 情報量が縦に多くなるため、TwitterやFacebookといった、縦方向に積み重ねる形でタイムラインが表示されるSNSとの相性は抜群。1画面に収まる情報の量が増えるため、見やすいと感じます。スマホに最適化されたWebサイトを表示する際にも、効果が体感できます。

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縦に長いぶん、一覧性が上がる

 縦長になったことで、2つのアプリを同時に表示させたときの視認性も上がりました。ただ、残念なのは、2つのアプリを起動する際のUIがやや分かりづらいこと。履歴キーを長押しすると画面が分割されますが、最近使ったアプリからしか2つ目のアプリを選べないのは残念です。他社のモデルの中には、アプリ一覧を呼び出せたり、よく使うアプリが表示されるものもあるため、ここはもう少しカスタマイズしてほしかったところです。

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動画を見ながらSNSに投稿したりといった操作が簡単にできる

 有機ELのため、コントラスト比も高く、写真などもクッキリと見えます。この点は、液晶を搭載したモデルと比べたときの大きな違いといえるでしょう。写真や動画が、非常に鮮やかに見える点は、高く評価できます。

DSDV対応で、かゆいところにも手が届く

 通信面では、DSDV(デュアルSIM/デュアルVoLTE)に対応している点に注目です。これによって、LTEのまま、2つのSIMカードで同時に待受けることが可能になります。ただし、いまひとつなのが、VoLTEを利用できるのがソフトバンク(ワイモバイル)だけということ。ドコモやauのVoLTEに対応していれば、複数のキャリアをまたいで使えただけに、今後のアップデートに期待したいポイントです。

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DSDV対応で2回線同時にVoLTE待受けが可能

 指紋センサーは、相変わらずのスピード。P10などと異なり、背面に搭載されているため、前面がすっきり見えるだけでなく、手に取ったとき、自然と人差し指が指紋センサーに当たります。通知パネルを下げるなどの操作にも対応しており、スムーズに操作できます。

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指紋センサーは背面で、指が届きやすい印象

 ユーザーインターフェイスも、しっかりカスタマイズされており、かゆいところに手が届く印象を受けます。たとえば、アプリのドロワーのオン/オフを設定で変更できたり、ナビゲーションキーの順番を入れ替えることができたりと、ユーザーフレンドリーな機能が満載されています。

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カスタマイズ項目の多彩さも魅力

 一方で、micro SDカードには非対応。iPhoneのように、3.5mmのイヤホンジャックも搭載されていないため、音楽を聞こうと思うと、変換ケーブルを使うか、Bluetoothのヘッドセットが必要になります。どちらも今ではAndroidならではの機能なだけに、搭載されていないのは少々残念です。

 このように物足りない部分は確かにあるものの、パフォーマンスの高さやカメラのよさは、それを補って余りある魅力。9万円オーバーの価格は高いと感じるかもしれませんが、一部MVNO経由で買えば、割引も受けられますし、性能は価格相応だと感じます。AIを使って長期間使ったあともサクサク感を維持しているというため、安い端末を頻繁に買い替えるよりは、お得といえるかもしれません。