今年1年間、さまざまなSIMフリースマホが発売されてきました。中でも、シェアを大きく伸ばしたのがファーウェイ。MM総研が発表した2017年上期のシェアで1位を獲得したほか、夏モデルとして発売された「P10 lite」も、年間を通してのヒット端末となりました。

ハイエンド+liteの2段構えがファーウェイ好調の要因

 ファーウェイは、この“lite戦略”が見事に当たりました。2017年を振り返ってみると、nova lite、P10 lite、Mate 10 liteと、3機種のlite端末が発売され、いずれも売れ行きは好調だといいます。novaやP10、Mate 10 Proも確かにいい端末ではありますが、価格はどうしても高くなりがち。こうした中、同じブランドを冠するlite端末が、買いやすいモデルとして選ばれます。P6060503
ファーウェイのP10 liteは、大ヒット端末に成長

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Mateシリーズにもliteが登場。イン、アウト両方がデュアルカメラ搭載に

 一方で、liteシリーズに魅力を持たせるためには、やはりフラッグシップモデルに、ほしいと思わせるだけの実力が必要になります。P10、P10 PlusやMate 10 Proも、台数こそP10 liteなどのヒット端末には及びませんが、発売直後は一部店舗で完売するなど、評判は上々です。ハイエンドのほかに手頃なミドルレンジの端末を用意するのは、携帯電話メーカーの常とう手段ではありますが、日本でもこうした戦略が通用するようになりつつあることがうかがえます。

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フラッグシップモデルも好評。Mate 10 ProはAI対応チップを搭載し、トレンドを先取り

ASUSは全モデルデュアルカメラのZenFone 4シリーズを展開

 ASUSは、ZenFone 4で、すべてのモデルをデュアルカメラ化しました。ZenFone 4では、通常のカメラのほかに、ワイドカメラを搭載、ZenFone 4 Proでは、ズームカメラを備えるなど、組み合わせはさまざまです。前面カメラがデュアルカメラの、ZenFone 4 Selfie Proも発売されました。

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ASUSのZenFone 4シリーズは、全機種デュアルカメラに

 一方で、ZenFone ARのように、ASUSはSIMフリースマホ市場にチャレンジングな端末も投入しています。残念ながら、ZenFone ARに採用されたGoogleの「Tango」自体がすでに終息してしまっており、はしごを外された感もありますが、売れ筋モデルだけではマーケットがつまらくなるのも事実。こうしたチャレンジ自体は、続けてほしいと感じています。

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Tango対応のZenFone AR

日本メーカーも奮起した1年、シャープのAQUOS senseが秀逸

 SIMフリースマホといえば、ファーウェイやASUSなど、中国、台湾のメーカーが一般的でしたが、日本のメーカーもこの市場に本腰を入れ始めています。日本メーカーとしてシェアが高いのは富士通。同社は、2017年の新モデルとして、arrows M04を発売しました。これをベースにしたTONEモバイルの、m17も要注目の端末です。

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富士通のarrows M04。TONEモバイルのm17のベースモデルもこれ

 これを追いかけるのがシャープ。同社は、ドコモやUQ mobileなどが取り扱うAQUOS senseを、SIMフリーモデルのAQUOS sense liteとして投入しました。liteと銘打ってはいますが、外観以外ではほとんど違いがなく、細かなスペックも同じです。AQUOS sense liteは、おサイフケータイなど、日本仕様を網羅しつつ、3万円前後に価格を抑えているのが特徴。低消費電力で定評のあるIGZO液晶を搭載している点も、魅力といえるでしょう。

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価格と機能のバランスが秀逸なAQUOS sense

 また、キャリア向けでは高いシェアを誇るソニーモバイルも、久々にSIMフリースマホを発売しました。取り扱うMVNOはグループ会社が運営するnuroモバイルだけですが、機種はドコモ向けとして発売され、ヒットしたXperia XZ Premiumなだけに、Xperiaを待ち望んでいたファンからの人気が出そうです。

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Xperia XZ PremiumもSIMフリースマホとして発売

 ほかにも、VAIOがOSをAndroidに載せ替えたVAIO Phone Aや、背面のパーツを着せ替えることができるトリニティのNuAns Neo [Reloaded]など、比較的小規模な日本のメーカーからも、SIMフリースマホが発売されました。NuAns Neo [Reloaded]はスペックアップを果たしていますが、VAIO Phone Aは、Windows 10 Mobileを搭載したVAIO Phone BizのOS違い。このように、Windows陣営だったメーカーがAndroidへ鞍替えしたのも、2017年のトピックだったといえるかもしれません。

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AndroidになったVAIO Phone A

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おサイフケータイにも対応したNuAns Neo [Reloaded]

新規参入組はやや少なめ、OPPOの日本上陸にも期待

 ほかにも、2017年は、モトローラやZTE、Wikoなどが、SIMフリースマホを発売してきました。一方で、日本市場に新規参入するメーカーは、減りつつあります。SIMフリースマホ市場が成熟し、シェアが固まりつつあるという事情に加え、そもそも日本に参入するだけの体力があるメーカーも残り少なっています。ソフトバンクC&Sが代理店となり、日本に上陸した米メーカーのBLUなどはありますが、大型参入はありませんでした。

 逆に、市場から姿を消してしまうメーカーも出てしまいました。プラスワン・マーケティング(POM社)のFREETELです。同社は、経営不振にあえぎ、MVNO事業を切り離したうえで、楽天に売却しましたが、あくまで一時的な止血にしかなりませんでした。12月には民事再生法の適用を申請。新端末を発売する予定もあったようですが、現状では、それも難しくなってしまいました。

 POM社が2017年に発売したのは、RAIJINとPriori 4の2機種のみ。結果として、シェアも急落。冒頭で引用したMM総研のシェアの上位にも、POM社の名前はなく、「その他」としてくくられてしまいました。低価格なSIMフリースマホを矢継ぎ早に発売し、一時はファーウェイやASUSとシェア上位争いをしていただけに、残念な結果に終わってしまったといえるでしょう。すでに端末を購入したユーザーに対するサポートが今後どうなるのかも、気になるところです。

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RAIJIN、Priori 4発売以降、新モデルを出せないまま経営破たんしてしまったPOM社

 シェアがある程度固定化し、退場するメーカーも出てしまった2017年ですが、中国メーカーのOPPOが日本法人を設立し、参入を目指すなど、動きが完全に止まってしまったわけではありません。OPPOは世界シェア4位につけるメーカーで、激戦の中国ではファーウェイなどとトップ争いをしている実力があるだけに、参入には期待が持てます。シェアが固まったといっても、全体ではまだ300万台程度の市場規模。その意味では、2018年も、まだまだ成長の余地はありそうです。