ファーウェイは、冬商戦向けに、SIMフリースマホ2機種を発表しました。新たに発売されるのは、「Mate 10 Pro」と「Mate 10 lite」。好評を博した「Mate 9」の後継モデルで、Pro以外にもliteが選択肢に加わったことで、より選ぶ楽しみが増えた格好です。それぞれの特徴を見ていきましょう。

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AI対応CPU搭載でディスプレイも18:9に拡大した「Mate 10 Pro」

 Mate 10シリーズは、ドイツ・ミュンヘンで発表されたばかりのフラッグシップモデルで、12月1日に発売されるMate 10 Proは、その最上位モデルです。最大の特徴は、AIの処理に特化した「NPU」(ニューラルネットワーク・プロセッシング・ユニット)を内蔵する、「Kirin 965」というチップセットを搭載していること。これによって、写真撮影や翻訳アプリなどの性能が強化されています。

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AI処理に強いのが特徴のMate 10 Pro

 ファーウェイによると、カメラ機能にAIを応用したとのこと。1億枚の画像データを学習させ、シーン認識を自動で行い、それに合わせた最適化をしています。料理であればよりビビッドに、明暗の差が大きな場所であれば、それを補正するといった具合に、設定不要できれいな写真が撮れるというわけです。

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カメラが自動でシーンを認識

 カメラ自体は、昨年のMate 9と同様、ライカと共同開発したダブルカメラ仕様。片側がモノクロ2000万画素で、被写体を精細に描写し、もう一方の1200万画素カラーセンサーで色をつけていく仕組みです。2つのレンズから光を取り込むことで、F値も1.6となり、明るさがアップしています。優れたハードウェア性能を、AIによってさらに引き上げているのが、Mate 10 Proの強みといえるでしょう。PB280616
モノクロとカラー、2つのカメラを搭載

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美しい背景のボケを作れる

 また、マイクロソフトの開発した翻訳アプリも、AI処理に特化したNPUに最適化され、動作が高速化しています。ユーザーの使い方を学習し、自動的にパフォーマンスを上げる機能にもAIが応用されており、レスポンスは60%高速化しているといいます。AIの力をスマホに生かすという点では、アップルのiPhone 8、8 Plus、Xも同じですが、トレンドとなる機能をいち早く取り入れてきた点は評価できます。

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AI対応のマイクロソフト翻訳も高速化

 テレビなどの大きなディスプレイに接続した際に、PCのようにマルチウィンドウで利用できる「PCモード」にも対応しました。これも、高いCPU性能を活かした機能の1つ。別途変換ケーブルが必要になり、キーボードも用意する必要がありますが、家で仕事のメールを書きたいときなど、ちょっとした利用であれば、わざわざPCを起動する必要がなくなりそうです。

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PCモード

 Mateシリーズは、大画面が売りのスマホでしたが、そのディスプレイにも磨きがかかりました。ディスプレイの方式は有機ELとなり、比率も18:9と縦長になっています。縦にディスプレイが広がったことで、1画面に収められる情報量が増し、アプリの分割表示もしやすくなりました。

 格安SIMユーザーにうれしいのが、「DSDV」対応。これは、「デュアルSIM/デュアルVoLTE」の略で、2つのSIMカードで、2回線分のVoLTE待受けが同時にできるというものです。残念ながら、日本で対応しているのはソフトバンク/ワイモバイルのVoLTEだけですが、仕事とプライベート、両方のSIMカードでVoLTEが使えるようになったのはメリットといえます。

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DSDV対応

 この仕様のため、マイクロSDカードには非対応になりますが、ストレージ(ROM)が128GBと大容量のため、写真や動画、音楽などのファイルをたくさん保存しておく人にとっても安心。メモリ(RAM)も6GB搭載されており、アプリの切り替えもスムーズです。

 ハイエンドモデルのため、予想実売価格は8万9800円と高めですが、大手キャリアのハイエンドモデルが10万円超になる中ではリーズナブル。MVNOによっては、最大2万円程度の割引も行っています。こうした施策を利用すれば、コストパフォーマンスも高くなるでしょう。

インカメラもダブルレンズになったお手頃価格の「Mate 10 lite」

 よりコストを重視する人にとって魅力的なのが、同時に発表されたMate 10 liteです。こちらは、予想実売価格が4万2800円。ミドルレンジの売れ筋価格帯である3万円よりはやや高めに設定されていますが、ハイエンドモデルよりも一段安く、Mate 10の魅力を気軽に試すことができます。

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お手頃価格のMate 10 lite

 ディスプレイは、Mate 10 Proと同じ18:9のアスペクト比で、5.9インチと大画面。有機ELのMate 10 Proとは異なり、ISP液晶になりますが、迫力は十分です。縦長のため、Mate 10 Pro同様、1画面に表示できる情報量が多く、アプリを分割表示した際の使い勝手も高くなります。

 チップセットは、ミドルレンジ向けの「Kirin 659」を採用。カメラはライカブランドではないものの、ダブルカメラで、1600万画素と200万画素の構成。200万画素の方で深度を測定できるため、背景のボケを作ることができます。Mate 10 Proにもない特徴としては、セルフィー用のインカメラもダブルカメラになっていることが挙げられます。

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インカメラもダブルに

 画素数は1300万画素と200万画素。アウトカメラと同様、200万画素のカメラで深度を測り、背景のボケを作ることができます。ファーウェイ端末ではおなじみの、美顔補正もかけることが可能で、自然にキレイな顔で自撮りができます。手軽な値段で、セルフィーに強いという特徴もあり、Mate 10 Pro以上のヒットが期待できそうな端末といえるでしょう。

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セルフィー利用時に、背景ボケを作ることが可能

 デザイン的には、Mate 10 Proがガラスを使って高級感を演出しているのに対し、Mate 10 liteは金属筐体といった違いがあります。見比べてしまうと、やはりMate 10 Proの仕上げの美しさにはかなわないのも事実ですが、4万円台前半のスマホとしては上出来といった印象。カメラの下に配置された指紋センサーも、指が置きやすく、使い勝手は上々です。

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筐体は金属

SIMフリー市場で躍進したファーウェイ

 矢継ぎ早に新端末を投入するファーウェイですが、その背景には、同社がSIMフリー市場で、順調に販売数を伸ばしていることがあります。MM総研の調査では上半期で1位に輝き、夏モデルとして発売されたP10 liteは端末ランキングの上位に名を連ねる、ヒット商品になりました。ハイエンドでブランド力や技術力を見せつつ、ミドルレンジ端末で実を取るという戦略が、上手に機能していることがうかがえます。

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SIMフリースマホでシェア1位に

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夏に発売されたP10 liteは大ヒットモデルになった

 Mate 10シリーズでも、機能面で目新しさがあるMate 10 Proと同時に、買いやすいMate 10 liteを用意しました。Pシリーズで成功した戦略を、Mateシリーズでも踏襲したというわけです。Mateシリーズは徐々に認知度を高めており、昨年発売されたMate 9は、ファーウェイ自身の予想を上回り、一時、供給が追いつかない事態にもなりました。Proとliteの2モデル構成になり、より選びやすくなったことで、人気に拍車がかかりそうです。