「スマホの未来」とも称される、iPhone Xが、11月3日に発売されました。もちろん、例年通り、アップルが直接SIMフリー版を販売しており、これを格安SIMと組み合わせて使うこともできます。早速、筆者も実機を購入。実力をチェックしてみました。

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ディスプレイが美しく、Face IDも便利

 iPhone X最大の特徴は、やはり上下に表示領域が広がったディスプレイだと思います。素材には、有機ELがiPhoneとしては初めて採用され、これまでの液晶とは比べ物にならない、100万対1のコントラスト比を実現しました。黒がクッキリ締まって見え、映像が鮮やかに写ります。

 ディスプレイが縦長になり、縦にコンテンツが並ぶ際の情報量も増えました。iPhone 8と比較してみると、その違いは一目瞭然。結果として、サイトを見るときや、アプリを使うときに、よりスクロールさせる頻度が減り、快適に使うことができます。

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上がiPhone 8で、下がiPhone X

 一方で、ギリギリまでディスプレイを拡大したために、これまで伝統的に搭載されてきた「ホームボタン」がなくなっています。代わりに、アプリは上方向にスワイプすることでホーム画面に戻れるようになっています。この操作には多少の慣れが必要ですが、筆者は使い始めてから、5分も経たないうちに指が覚えてしまいました。むしろ慣れると、サクサクとアプリを切り替えていけるのが快適に思えるほどです。

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アプリは上へのスワイプでバックグラウンドに

 逆にコントロールセンターは、画面右上からのスワイプになりました。ディスプレイが縦長になっているため、手が小さいと指が届きにくいかもしれませんが、従来、PlusシリーズのiPhoneに搭載されていた画面全体を下に移動させる「簡易アクセス」の機能も使えるため、これを併用するといいかもしれません。簡易アクセスは画面を下の方に引っ張る感覚で、下部を下にスワイプすると呼び出せます。

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コントロールセンターは右上から

 ホームボタンに内蔵されていた指紋センサーも同時になくなったため、認証は顔で行うようになりました。Face IDと呼ばれるものがそれですが、認識率はかなりの高さ。単純に画像を読み取っているのではなく、顔に照射したドットを赤外線でチェックしているため、暗い場所などでもきちんと動作します。Touch IDよりも自然にロックが解除でき、あたかもロックをしていないかのような操作感です。

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Touch IDに代わって搭載されたFace ID

 ただし、逆にApple Pay利用時には、いったんiPhoneを見ないといけないため、目視せずに指を置くだけでよかったTouch IDよりも、やや手間が増えている印象。慣れれば、そこまで違和感はありませんが、いずれにせよ慣れが必要なことは確かです。

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Apple Payはひと手間増えた

通信性能も最高峰で格安SIMにも当然対応

 通信面で見ると、スペックは先に発売されたiPhone 8や8 Plusと同じ。ドコモ、au、ソフトバンクと3キャリアから発売されていることもあり、基本的には日本で利用できる周波数は、ほぼ網羅しています。LTEの対応バンドは以下のとおりです。

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国内の周波数は網羅しており、海外キャリアでも利用可能

 iPhoneならではなのは、海外の周波数にも幅広く対応しているところです。これだけ多彩なバンドに対応していれば、周波数帯がやや特殊な米国はもちろんのこと、欧州やアジアなどに持っていった際にも、問題なく通信することができそうです。SIMフリー版のメリットは、どの会社のSIMカードでも読み込むところ。国内では格安SIMを使いつつ、海外旅行、海外出張時には割安な現地のSIMカードに入れ替えるという手が取りやすくなります。

 ちなみに、国内での最大速度は、ドコモとソフトバンクは下り500Mbps。auは558Mbpsになります。格安SIMで使う場合も、最大値はこのスペックになりますが、ソフトバンクのMVNOのみ、Wireless City PlanningのAXGP(TD-LTE)が利用できないため、速度の上限はもっと低くなります。とはいえ、これはあくまで理論値の話。実際、ソフトバンクから回線を借りるU-mobile Sで速度を測ってみたところ、下記のように十分なスピードが出ました。

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U-mobile Sでの速度。昼の12時台に測定

 同時間帯にmineoのAプランで計測した数値は以下のとおり。どちらかというと、混雑した時間帯は格安SIM側の帯域がボトルネックになるため、“高速”と一概には言えない印象はあります。とはいえ、海外で使えるのはメリット。また、速度を気にするのであれば、ソフトバンク自身が提供しているサブブランドのワイモバイルを利用する手もあります。iPhone Xはワイモバイルでの動作検証もされており、テザリングにも対応しています。

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mineoでの測定結果。昼の12時台に測定

高額な端末代は格安SIMで使う上でのネックか

 非常に魅力的なiPhone Xですが、唯一ネックになりそうなのが、その価格です。SIMフリー版は、64GB版が11万2800円(税抜き、以下同)、256GB版が12万9800円で、CPUやワイヤレス充電対応などの仕様が近い、iPhone 8や8 Plusと比べても割高です。

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端末価格は11万2800円から

 また、大手キャリアで購入すると、2年間割引を受けられる(auのauピタットプラン、フラットプランは割引なし)ほか、最近では下取りを条件にした買い替えプログラムも用意されており、これを利用すると半額程度の支払いで、次の機種に乗り換えることができます。

 試しに、IIJmioで2年間使った場合と、auのauピタットプランにアップグレードプログラムEXをつけて2年間使った場合を比較してみると、以下のようになります。IIJmioは3GBの「ミニマムスタートプラン」、auはauピタットプランで3GB使った場合の料金で、SIMカードの初期費用やApple Careなどは考慮していません。iPhone Xは64GBです。

  au IIJmio
通信料 11万6121円 4万1472円
端末代 64080円 12万1824円
合計 18万0201円 16万3296円

 ご覧のように、auが18万201円なのに対し、IIJmioが16万3296円と、その差は2万円もありません。補償プログラムが充実していることや、使ったデータ容量のぶんだけ払えばいいという点を考えると、auの方がむしろ割安にも思えます。もちろん、アップグレードプログラムを使うと、auから移ることができず、端末も下取りされてしまいますが、高額な端末を使うと、通信料の差があまり効かなくなってくるのも事実です。この計算のみ、消費税も加算しています。

 より料金を抑えたければ、iPhone 8、8 Plusを選ぶのも手です。また、iPhone SEであれば、SIMフリー版でも3万9800円からと割安。節約志向であれば、あえて最新のiPhone Xに手を出さなくてもいいかもしれません。