個人向けにIIJmioを、法人向けにIIJモバイルを展開するIIJのMVNO契約回線が、200万を突破しました。これに合わせ、同社は事業説明会を開催。IIJの現状や、年度末に始まるフルMVNOの取り組みについて解説しました。

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IIJの取り組みを説明する、矢吹部長


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長期利用者向け還元を発表する今井副部長

技術力を背景に伸びてきたIIJのMVNOサービス

 IIJといえば、注目したいのはやはりその技術力。テレビCMなど、大きな宣伝をせず、ここまで拡大してきた背景にも、それがあります。同社でMVNO事業を統括するMVNO事業部長の矢吹重雄氏は、「単に安いだけの通信サービスではなく、社会的に求められる機能や品質を、徹底的に追求していく必要がある」と語ります。

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9月末時点で200万回線を突破

 通信の安定性を追求するために、同社は「東日本と西日本で冗長構成を取っており、非常にしっかりとした耐障害性を誇っている」(同)といいます。実際、ドコモ網に関しては関東だけでなく、関西にもネットワークの設備があり、KDDI回線についても準備中とのこと。もちろん、「ネットワーク監視技術やオペレーションセンターを活用して、24時間、365日の監視体制が組まれている」(同)といいます。

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東日本と西日本で冗長構成を取る

 インフラという観点では、個人向けと法人向け、さらに機械向けなどが上手く分かれていることで、「高い設備稼働率を維持して、収益性を確保している」(同)といいます。たとえば、人であればお昼休みなど、スマホを触れる時間単に下りの通信が集中してしまいますが、法人向けであれば、よりワークタイムでの通信が増え、クラウドストレージなどにデータを上げるため、アップロードのデータ量も増えます。

 一方で、M2Mのような機械向けはより通信量が少なく、「夜間のバッチ処理や、データのバックアップにも使われる」(同)ため、人間が使っていない帯域を有効活用できます。このように設備効率やコスト効率を高め、きちんと収益を出しながらも、低価格でネットワークサービスを提供できているのがIIJの真骨頂といえるでしょう。こうした姿勢が評価され、個人のユーザーだけでなく、IIJをMVNEに選ぶ会社も増え、現在では「128社に回線を提供している」(同)状況になりました。

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設備稼働率が高く、きちんと収益をあげられる体制になっているのもポイント

サービスイン目前のフルMVNOもついに本格テストの段階へ

 技術力という意味では、今年度中にサービスが開始される、フルMVNOとしての取り組みにも注目しておきたいところです。現状のMVNOは一般的に、「ライトMVNO」と呼ばれ、「ドコモやKDDIからSIMカードを借り、これをお客様に提供してきた」(同)というサービス形態になります。一方のフルMVNOは、HLR/HSSと呼ばれる加入者管理装置をMVNO自らが持ち、自身のSIMカードも発行する運営形態を指します。

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フルMVNO化に向けた取り組みもスタート

 IIJは、このフルMVNO化に向け、ドコモと合意しており、来年3月にもサービスを開始する予定。「11月に入る直前にドコモとの大きな試験も終了して、サービスインはおおむねスケジュールどおりに進んでいる」(同)と、順調にテストをも進んでいるようです。実際、記者会見の会場では、試作されたIIJ自身のSIMカードで通信する様子が公開されていました。SIMカードをIIJ自身で発行しているため、端末側にもIIJと表記されていることが分かります。

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試験用のSIMカード。端末側にもしっかりIIJと表示されていた

 このフルMVNOを活かし、IIJは「第一弾として、法人向けや訪日外国人向けのプリペイドサービスを展開する予定」(同)だといいます。また、「広範な国際ローミングサービスも考えている」(同)としています。

 将来的には、eSIMの採用も視野に入っているようです。MVNOセールス・プロモーション部 事業統括室 担当部長の佐々木太志氏によると、「工場出荷時に、あらかじめSIMカードを組み込んでおきたいというニーズがある」といいます。フルMVNOであれば、こうしたニーズに応えるため、あらかじめ組み込まれたSIMに、IIJの接続情報だけを書き込むといたことも可能になります。

 主に法人向けのサービスが中心ですが、国際ローミングが可能になる点は、個人のユーザーにとってもメリットがあるでしょう。また、eSIMについても、一部の中国メーカーがスマホに採用しており、その際のキャリアの選択肢として、IIJが選べるようになる可能性があります。現状では、あくまでデータ通信のみのサービスですが、MVNOの新たな形として注目しておきたいところです。

長期利用者向けの新サービスも開始

 これとは別に、長期利用者向けの還元も強化していきます。MVNOの老舗なだけに、長期ユーザーが多いのがIIJの特徴。ここに向け、12月から「長得」と呼ばれる特典を提供していきます。

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長期利用者向け特典の長得を開始

 長得は、IIJmioを3年以上使っているユーザーが対象です。特典は2つあり、1つが対象オプションの中から選んだものが、永年無料になるというもの。「IIJmio WiFi by エコネクト」か「マカフィー モバイル セキュリティ/iフィルター for マルチデバイス」、もしくは「トビラフォン for Android」が無料の対象。それぞれ300円から362円ほどの金額となり、今まで使っていたユーザーは、そのぶん料金が安くなります。

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4つのオプションのうち1つが無料になる

 もう1つの特典は、1GBの高速データ通信量のクーポンを、年3枚配布するというもの。ユーザーは、このクーポンを任意のタイミングで利用できるようになります。現状だと、100MB、200円の追加クーポンを1GBぶん買うと2000円。割安な2GBクーポンでも、3000円になるため、約5000円ぶんのクーポンがタダでもらえるのに近い形になります。

 端末購入補助が厳しく制限された結果、大手通信キャリアは長期ユーザーへの還元を強化していますが、MVNOではまだ珍しい仕組みといえるかもしれません。老舗として、長くサービスを続け、ユーザー数も多いIIJmioだからこその特典といえるかもしれません。