6月に米・サンノゼで開催された開発者会議のWWDCで、iPad Proのラインナップが刷新されました。昨年発売になった9.7インチ版は姿を消すことになり、iPad Proは、新サイズとなる10.5インチ版と、12.9インチ版の2サイズ構成となっています。このiPad Proの10.5インチ版を筆者は発売日に入手。約1カ月ほど使い倒してきました。ここでは、その印象をお届けします。

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ヌルヌル、サクサク動く120Hzのディスプレイ

 10.5インチ版のiPad Proは、これまでiPadになかったサイズです。9.7インチ版と比べると一回り大きくなりましたが、一方で、左右の額縁が細くなっているため、ボディはわずかなサイズアップに止まっています。ディスプレイが大きくなったぶん、映像の迫力はアップ。反射を抑えるディスプレイを採用していることもあって、映像も見やすくなっています。

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ベゼルが細くなり、画面のサイズアップを吸収

 サイズだけではなく、1秒間に表示を書き換える回数である、フレームレートが倍増しているのも、新しいiPadの特徴。従来のiPadは60Hz駆動でしたが、10.5インチ版は120Hz駆動と、書き換えの回数がちょうど2倍になっています。一般的に、120Hz駆動というフレームレートは、動画やゲームなどを楽しむ大画面のモニターなどに採用されるもの。大画面といっても10.5インチ程度では違いが分からないと思われがちですが、iPadの場合、タッチ操作に画面の動きが追随するため、120Hz駆動になったことがはっきりと分かります。

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指に吸いつくようなスクロールを実現

 たとえば、Safariをスクロールさせたときも、動きが滑らか。ホームボタンをダブルクリックして現れるアプリ履歴の画面も、ヌルヌルと指に吸い付くように動きます。効果がよく分からないという人は、設定の「アクセシビリティ」の「ディスプレイ調整」にある、「フレームレートを制限」をオンにしてみるといいかもしれません。ここをオンにすると、従来通りの60Hz駆動になり、滑らかさの違いがよく分かります。
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あえてオンにする必要はないが、フレームレートを落とすことも可能

 120Hz駆動は操作が気持ちいい半面、バッテリーの消費が大きくなるため、気になる人はここで制限をかけておくといったこともできます。とはいえ、iPadのディスプレイは、常に120Hz駆動になるというわけではなく、表示するコンテンツに合わせて、速度を変えているため、あまり気にする必要はないでしょう。実際に使ってみても、これまでのiPadより特にバッテリー消費が激しいと感じたことはありません。

 120Hz駆動になり、Apple Pencilでの書き心地もよくなりました。具体的に言うと、ペンへの追従性がより素早くなったような印象を受けます。Apple Pencilはあくまでオプション品という位置づけですが、せっかくiPad Proを使うのであれば、買っておいて損はない製品と言えるでしょう。

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Apple Pencilでの書き心地もよくなっている

パフォーマンスも大幅にアップ、メモリも4GBに増加

 CPUには、アップルが開発した「A10X Fusion」が採用されています。このチップセットは、現状のiOSデバイスの中で、最高峰のパフォーマンス。ベンチマークを取ってみても分かりますが、iPhone 7やiPhone 7 Plusをしのぐスコアをたたき出しています。9.7インチ版のiPad Proでは2GBだったメモリ(RAM)も4GBになり、よりヘビーな作業をするのに向いたタブレットになりました。6
CPU、メモリともにスペックアップ

 同じく、9.7インチ版との比較では、ストレージも倍増しています。容量は3つから選ぶことができ、下から64GB、128GB、512GBとなっています。これまでのiPadは、最低容量を選ぶとストレージがギリギリで、あまりコンテンツをたくさん持ち運べませんでしたが、10.5インチ版のように64GBもあれば、あえて上位モデルを選ばなくてもアプリなどは十分楽しめるかもしれません。

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ストレージも9.7インチ版と比べ、倍増した

 もっとも、この性能を生かすには、秋に予定されているiOS 11へのアップデートを待つ必要があります。iOS 11では、iPadでファイルを使えるようになったり、アプリ間でドラッグ&ドロップができたり、ロック画面にApple Pencilをタッチするだけでメモが取れるようになったりと、さまざまな進化をする予定です。複数のアプリを同時に動かすなど、よりパソコン風の使い方をする際に、このパフォーマンスが生きてくるのかもしれません。

Band 21対応でMVNOでの使い勝手もアップ、Apple SIMも便利

 格安SIM関連の機能をピックアップすると、対応するLTEのバンドも広がっています。iPhone 7、7 Plusと同様、10.5インチ版iPad Proも、ドコモの持つBand 21(1.5GHz帯)に対応しました。これによって、キャリアアグリゲーションの組み合わせも増え、ドコモのネットワークでは、下り最大375Mbpsの速度を実現しています。

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Band 21に対応し、通信がより快適に

 もちろん、この恩恵はMVNOのSIMカードを使っていても、受けることができます。速度が十分出る時間帯であれば、より快適に通信できるようになっているというわけです。特にBand 21は、混雑しがちな都市部を中心に整備されている周波数帯のため、速度が速くなったと感じることがあるかもしれません。Band 21はいわゆるグローバルバンドではないため、まだまだ対応しているSIMフリースマホは少なめ。その意味では、iPhoneとともに貴重な端末と言えるかもしれません。

 9.7インチ版のiPadと同様、Apple SIMにも対応しています。Apple SIMとは、ソフトウェアでキャリア情報を書き換えられるSIMカードのことで、これがiPadに内蔵されています。主な用途は海外で現地キャリアを契約するといったところですが、日本でも、auやソフトバンクがApple SIM向けに、プリペイドプランを用意しています。

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Apple SIMに対応

 au、ソフトバンクともに、料金は1GBで1500円になり、有効期限は31日間になります。どちらも、新規契約手数料の3000円がかからないため、大手キャリアとしては割安な料金設定と言えるでしょう。毎月、必ずモバイルネットワークが必要であれば、MVNOのデータSIMを契約する方がお得になりますが、年に数回通信できればいいというのであれば、その都度、Apple SIMでプリペイドプランを契約してもいいかもしれません。

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料金はau、ソフトバンクともに1GBで1500円