海外渡航時に、通信手段をどうするかは頭を悩ませるポイント。大手キャリアを契約していれば国際ローミングに頼る手もありますが、MVNOの場合、データローミングに非対応なところがほとんどのため、それもできません。このようなときに試してみたいのが、現地のキャリアが販売するプリペイドSIMカードです。今回は筆者が取材のために渡った台湾で、現地SIMを試してみました。

空港内にキャリアカウンターがあり手軽に買える

 台湾・台北にある桃園空港は、現地のSIMカードを簡単に空港で買える国や地域の1つです。空港には大手キャリアがズラリとカウンターを並べており、パスポートを提示し、代金を払うだけでSIMカードを入手できます。イギリスや中国・マカオのように自販機を備えている国や地域もありますが、それと並んで、簡単にSIMカードが手に入ります。

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桃園空港ターミナル1のキャリアカウンター。右の中華電信は予約専用とのこと

 店員によっては簡単な日本語が通じることがあるのも魅力。今回、SIMカードを買った台湾最大手キャリア・中華電信のカウンターでは、筆者の持っていた端末を指し、「SIMフリーですか?」と日本語で聞かれました(笑)。日本語が通じなくても簡単にSIMカードが買えるよう、各社とも、プランは非常にシンプル。中華電信の場合、3日、5日、7日、10日、15日、30日と6種類の日数別プランが用意されており、その日数分、データ通信が完全定額で利用できます。

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中華電信のショップで、3日、300元のSIMカードを購入

 料金は3日と5日が300元(約1113円)、7日と10日が500元(約1855円)、15日が700元(約2597円)、30日が1000元(約3710円)。3日と5日、7日と10日は料金が均一になっていますが、これは含まれる無料通話で調整されています。3日は100元(約371円)ぶん、5日は50元(約185円)ぶんが無料通話となり、7日は150元(約556円)、10日は100元(約371円)ぶんが無料通話になります。

 カウンターにはプラン一覧の書かれたシートが置かれており、言葉ができない場合は、指差しでも購入が可能。APNは「internet」と入れればOKですが、店員に渡すと、通信が可能な状態まで設定してくれます。設定を英語や中国語に変更する必要は特になく、日本語のままでもいいという親切ぶりで、海外SIM初心者には、打ってつけと言えるかもしれません。

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APNは「internet」と入力するだけでOK

 中華電信以外にも、台湾大哥大、遠傳電信といった大手キャリアがカウンターを設けており、LTE対応のSIMカードを購入することができます。料金にも微妙な違いがあるため、3社をそれぞれ検討してみてもいいかもしれません。また、空港の定額プランは、基本的に、街中のキャリアショップで申し込むことができません。時間がない場合は、街中にある松山空港に寄ってみるのも手と言えるでしょう。20170515_084612
台湾大哥大の料金プランは中華電信よりやや高め

注意したい対応バンド

 今回、筆者は、ドコモ版のGalaxy S7 edgeをメイン端末にしました。もちろん、SIMロックは解除済みです。SIMカードを挿し、APNを設定するだけですぐにLTEにつながり、テザリングにも対応していました。docomo IDを設定していないアラートが通知に表示されますが、それ以外は、中華電信のSIMカードでもいつもと同じように使うことができました。

 ドコモ版のGalaxy S7 edgeは、中華電信の持つ周波数帯とも比較的相性がいいのも特徴です。中華電信はBand 3(1.8GHz帯)、Band 8(900MHz帯)が中心で、Band 7(2.6GHz帯)でもサービスを開始しています。一方のGalaxy S7 edgeは、ドコモのサイトを見ると、FDD-LTEは国内用のBand 1(2GHz帯)、Band 3(1.8GHz帯)、Band 19(800MHz帯)、Band 21(1.5GHz帯)、Band 28(700MHz帯)に加え、Band 7(2.6GHz対)、Band 13(700MHz帯)、Bnad 17(700MHz帯)にも対応していることが分かります。

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ドコモ版Galaxy S7 edgeの対応Band

 中華電信の持つ3つの周波数のうち、Band 3とBnad 7の2つを利用できるというわけです。特にBand 3は、グローバルで見て比較的、使われていることが多い周波数帯。キャリア端末、SIMフリー端末問わず、対応している端末が多いのが特徴です。プラチナバンドとも呼ばれるBand 8に非対応なのは、少々気になるポイントでしたが、エリアについては特に問題ありませんでした。

 ただし、今回は取材で回ったのが台北市だけで、しかもその中心部にいることが多かったため、より郊外に出かける際などには、Band 8が入らないことがネックになる可能性もあります。このようなときは、SIMフリースマホに軍配が上がります。たとえば、筆者が台湾に持っていったファーウェイのMate 9であれば、Band 3、Band 7、Band 8はフル対応。もう少し安価な機種でも、この3つに対応しているものは少なくありません。

 あくまで一般論ですが、グローバルで販売されている機種の方が、対応バンドの数の上では有利になることがあります。SIMフリー端末を購入する際は、こうしたスペックにも気を配ってみてもいいかもしれません。少なくとも、渡航予定の国で使われている周波数と、自分が持っている端末の対応周波数が合致しているかどうかは、事前に調べておくようにしましょう。

LTEでつながってデータ通信は超高速

 台北市内では、通信速度も速く、快適に使用することができました。午前中に、“台北の原宿”とも評される西門町で速度を測定してみたところ、下りは54.37Mbpsとまさに爆速。ホテルの室内にもしっかり電波は届いており、22.44Mbpsと通信速度は十分といった印象でした。

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安定して20~50Mbps程度出ていた

 先に挙げたように、空港で買ったSIMカードは容量に制限がない、日数型の料金プランが特徴。そのため、データ通信を気兼ねなく利用できました。出張中に撮った写真など、重めのデータをテザリングでGoogleドライブにアップロードしたり、動画を見てみたりしましたが、制限がかかる様子はありませんでした。

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2日で3GB使ってしまった

 期間限定ですが、無制限ということで、むしろ日本にいるときより、モバイルデータ通信を活用できた気がしています。2日目でデータ使用量は3GBを突破していました。これだけ使っても、トータルでの滞在日数は3日間だったため、料金は300元(約1113円)しか払っていません。国際ローミングだと、ドコモの「海外1Dayパケ」やauの「世界データ定額」で1日980円。通常の2段階制データローミングだと、1日2980円もかかるため、非常にお得と言えるでしょう。

 もちろん、これはあくまで台湾に限った話。国や地域によっては容量制限が厳しいこともあったり、SIMカードが買いづらいこともあったりで、一般化はできません。利用している周波数帯にも、注意が必要になります。それでも、現地SIMは料金の安さがやはり魅力。SIMロック解除された端末や、SIMフリー端末を持っている人は、チャレンジしてみる価値は十分あります。