ASUSが、ZenFoneシリーズの最上位モデルとなる「ZenFone AR」を発表しました。発売は夏を予定しています。このモデルは、1月に米・ラスベガスで開催されたCESで発表されており、その名の通り、AR(拡張現実)が最大の売り。Googleの「Tango」に対応しており、同時に、同社のVRプラットフォームである「Daydream」も利用できます。発売までまだ時間がありますが、この機種の特徴を見ていきましょう。

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Tangoで現実の空間を人間のように認識できる!

 GoogleのTangoは、スマホのようなデバイスに、現実空間を認識させる技術のこと。元々は「Project Tango」として公開され、開発が進められてきました。この正式版からは「Project」が取れ、Tangoとしてリリースされています。第一号機はレノボのファブレット「Phab 2 Pro」で、この機種は、日本でも販売中です。

 このTangoに対応した初のスマホとなるのが、ASUSのZenFone ARです。端末は写真を見ても分かる通り、ごく普通のハイエンドモデルと同じようなサイズ感。ディスプレイは5.7インチと比較的大きめですが、ギリギリ片手で持つことも可能で、厚みも最厚部で8.95mmに抑えられています。

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通常のハイスペックなスマホに近いサイズ感

 一方で、背面を見ると、そこには特徴的なカメラが搭載されています。仕組みとしては、2100万画素のカメラセンサーに加え、被写体との距離を測る赤外線を使った深度センサーや、動きを計測するモーショントラッキングセンサーを搭載しており、この3つの情報を合わせています。赤外線が返ってくるまでの時間で距離を取りつつ、動きはモーショントラッキングセンサーで捉え、映像は2100万画素のカメラで写すというわけです。

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カメラ、深度センサー、モーショントラキングセンサーの3つでTangoを実現

 Tangoを搭載したことで、アプリにその機能を組み込むことができます。目の前にあるテーブルの上にドミノを置くゲームや、部屋に家具を配置できるアプリなどがすでにリリースされていますが、これら以外にも、応用の幅は広そうです。目の前にある物体を3Dスキャンできるようなアプリも出ており、通常のスマホ以上に活用できそうです。現状では、30以上のアプリがGoogle Playからダウンロードできます。まだTangoは出始めたところで、数はそれほど多いわけではありませんが、今後には期待ができそうです。

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空間認識能力活かしたアプリを楽しめる

VRプラットフォームのDaydreamにも対応

 とは言え、TangoはすでにレノボのPhab 2 Proが対応しています。ZenFone ARが世界初をうたっているのは、これに加えて、GoogleのVRプラットフォームであるDaydreamに対応しているため。Daydreamは、VR用のUIやゴーグルの「Daydream View」などが一体となったプラットフォームで、端末の仕様などもGoogleが規定しています。ZenFone ARは、このDaydreamとTangoに両対応した、世界初の端末という位置づけになります。

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GoogleのDaydreamに対応

 ただし、残念ながら、GoogleのDaydream Viewは日本で発売されておらず、ZenFone ARが発売するまでに登場するかどうかも不明な状況です。そのため、今のままZenFone ARが出ても、VRの性能をフルに引き出すことができません。Daydream Viewはすでにグローバルで販売されているだけに、日本に上陸することも期待しておきたいところです。

 もっとも、VRに関しては、Daydream Viewがなくても楽しむことができます。ASUSも、パッケージに、簡易的なVRゴーグルを同梱しているほか、市販のVRゴーグルも利用できます。あくまで、現時点では、Daydream Viewが販売されていないというだけで、VR自体はアプリや周辺機器によって利用できるようになります。

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簡易型のVRゴーグルが付属する

Snapdragon 821や8GBのRAMなどスペックに関しては最高峰

 もちろん、TangoやDaydreamだけがZenFone ARの特徴ではありません。こうしたパフォーマンスを必要とする機能に対応しているだけに、端末のスペックも目を見張るものがあります。チップセットは、Snapdragon 821を搭載。「Xperia XZ Premium」や「Galaxy S8/S8+」など、すでに「Snapdragon 835」を採用した機種が発表されているため、世代が1つ前のSnapdragon 821という点は少々残念ですが、ハイエンドモデルとしてのパフォーマンスは十分です。

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チップセットにはSnapdrrgon 821を採用

 また、ZenFone ARはRAMの容量によってバージョンが分かれており、6GB版と8GB版の両方が存在します。ARやVRを快適に使おうとすると大量のメモリが必要になるため、この部分が強化されているというわけです。実際、発表会で試してみた限りでは、アプリの立ち上がりもスムーズで、重くなりがちなARアプリもサクサクと立ち上げていました。

 ディスプレイも、VRに最適なSuper AMOLED(有機EL)で、応答速度が高く、発色やコントラストが高いのが特徴です。細かな点では、サウンドにもこだわっており、「DTS Headphone X」やハイレゾにも対応。もちろん、通信部分は3GとLTEのDSDSが利用できます。TangoやDaydreamを置いておいたとしても、現状では、最高峰のスペックであることは間違いありません。

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サウンドや通信機能にもこだわる

 気になるお値段ですが、RAM6GB版が8万2800円、RAM8GBが9万9800円になります。SIMフリースマホの売れ筋である3万円台の機種と比べるとかなりの高額ですが、同様にハイスペックで10万円に迫る価格設定だった「ZenFone 3 Deluxe」が、一時需要が供給を大幅に上回ってしまったように、ゲームなどにこだわるユーザーには人気が出るかもしれません。