3月にiPhone SEの32GB版、128GB版が発売されました。iPhone SEは価格が安いのが特徴で、32GB版は税抜き4万4800円。これを、格安SIMで使おうと考えている人も多いかもしれません。一方で、このiPhone SEを、いわゆる格安SIM事業者で正式に扱っているのは、ワイモバイルとUQ mobileのみ。ネットワークを大手キャリアから借りるMVNOに限定すると、UQ mobileが唯一のキャリアになります。

 とは言え、他の格安SIMでiPhoneを使ってみたいという人もいるでしょう。iPhone SEに限らず、iPhoneシリーズを他の格安SIMで使うには、どうすればいいのでしょうか。今回は、そんな格安SIM初心者の疑問に答えていきます。

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32GB版、128GB版が登場したiPhone SE

SIMフリー? 中古? まずは端末を入手すべし

 使うためには、端末を手に入れなければなりません。といっても、先に述べたように、正式にiPhoneを取り扱っている格安SIM事業者は、限定的です。その他のMVNOで使いたいときは、どうすればいいのでしょうか。このようなときは、SIMフリー版のiPhoneを入手するのが手っ取り早い方法です。SIMフリー版は、アップルのリアル店舗か、オンラインストアで入手できます。

 ここで販売されているiPhoneには、大手キャリアのように割引はつかないものの、SIMロックがかかっていません。MVNOはドコモ、au、ソフトバンクのそれぞれから回線を借りていますが、その借り先を問わずに使えるのが魅力です。ドコモ系のMVNOからau系のMVNOにMNPで移ったというような場合でも、SIMフリーのiPhoneであれば、そのまま使いまわすことができます。

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SIMフリーのiPhoneは、リアルとオンライン、双方のApple Storeで販売されている

 SIMフリー版以外でiPhoneを入手しようと思ったら、キャリア版の中古という手もあります。格安SIMは大手キャリアから回線を借りていますが、端末側からは、大元のキャリアとMVNOの区別ができないことがあります。そのため、ドコモのSIMロックがかかったiPhoneは、ドコモのMVNOのSIMカードを挿しても利用ができます。この特徴を利用して、キャリア版の中古iPhoneを買って格安SIMで利用するという方法もあります。

 ただし、この場合、注意点もあります。auの場合、MVNOのVoLTE対応SIMはこの限りではありません。auのSIMロックがかかった端末では、そのまま使えないというわけです。ソフトバンクも、日本通信の開幕SIMやU-NEXTのU-mobile Sは、SIMロックのかかったiPhoneに対応していますが、一部のMVNOは非対応になります。

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MVNOのSIMカードを認識しないケースも

APN設定はできない! 構成プロファイルのインストールが必要

 無事に端末とSIMカードをそろえても、そのままでは通信ができません。初期設定も必要なり、これがAndroidと大きく異なります。iPhoneは、差し込まれたSIMカードを見て、設定項目を変えています。キャリアによっては、ネットワークに接続するための、APNを隠すこともあります。日本の場合、3キャリアともこれに該当。APNを隠す設定を採用しているため、手打ちでAPNの値を書き込むことができません。

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一部海外のキャリアだとAPNが設定できるが、日本のSIMだとここがふさがれてしまう

 このiPhoneにAPNの情報を書き込むファイルが、「構成プロファイル」です。構成プロファイルは、APNだけでなく、各種設定を一括で変更する際に使用されますが、MVNO各社はこれを利用して、APNの設定を行うよう案内しています。たとえば、MVNOシェア1位のOCNモバイルONEの場合、こちらのページから、構成プロファイルをダウンロードできます。

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MVNO各社は、設定用のプロファイルを用意している

 ただし、構成プロファイルをダウンロードするには、ネットに接続する必要があります。ネットに接続するための設定を行うのに、ネットに接続しなければならない……何やら鶏が先か、卵が先かのような話ではありますが、MVNOの設定を行う際には、Wi-Fiなど、他の方法でネットに接続することが必要になります。Wi-Fiサービスを提供しているMVNOなら、それを使ってもいいですし、家族や友人などからテザリングで、一時的に回線を貸してもらってもいいかもしれません。

 また、IIJmioのように、アプリから構成プロファイルを直接インストールできるようにしているMVNOも存在します。この場合、あらかじめアプリをダウンロードしておけばいいので、設定もスムーズ。特に、海外で現地のSIMカードを挿し、日本に戻ってきたときにMVNOのSIMを戻してすぐに使うというときのように、別のネット環境がすぐに用意できないケースでは、アプリから構成プロファイルをインストールできるのがメリットになります。SIMを差し替えながら使う人には、便利な機能と言えるでしょう。

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IIJmioではアプリから構成プロファイルをインストール可能

SIMフリーとはいえ、一部制約もある

 あとは、基本的に、キャリアで買うiPhoneと差はありません。キャリア版の中古でも、SIMフリーでも、内蔵するアプリや対応周波数に違いがないのは、iPhoneの特徴と言えるでしょう。使い勝手がアップル基準で統一されていることもあって、これまでiPhoneを使ってきたユーザーには、使いやすいはずです。

 一方で、MVNOならではの制約もあります。その1つがテザリング。先に挙げたようなAPNの仕様上の問題から、一部キャリアの回線を使うMVNOでは、テザリングができません。ドコモのネットワークを使うMVNOでは問題がないものの、auやソフトバンクはNG。iPhoneからインターネット共有をオンにしようとすると、回線を貸している側のキャリアの注意書きが表示されてしまいます。

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ドコモ以外のSIMではテザリングできない

 細かなところでは、auやソフトバンクが対応しているMMSも、MVNOだと利用できません。そのため、iMessageを使わない限り、メッセージアプリで画像などのやり取りができない点には注意が必要になります。また、iMessageやFacetimeの認証で、国際SMSを送り、料金がかかってしまうこともあるため、注意が必要になります。

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メッセージで写真を送ったところ文字になってしまった

 このようにキャリア版ほど至れり尽くせりではありませんが、SIMフリーのiPhoneでもアップルの「Apple Care+」などに加入でき、審査はありますが、SIMフリー版でも分割払いができます。OSのアップデートも、キャリアを問わず、比較的古い機種まで対象にしているため、Androidに比べて安心と言えるかもしれません。MVNOなら毎月の通信費を安く抑えられるため、本体代が多少高くても、検討してみる価値はありそうです。