ソフトバンクからネットワークを借りたMVNOが、3月22日にスタートしました。日本通信がソフトバンクとの相互接続を開始したためで、日本通信自身が「b-mobile S 開幕SIM」を提供しているほか、日本通信から回線を借りるU-NEXTも「U-mobile S」のサービスをスタートさせています。

 このサービスの実力をチェックすべく、さっそくU-mobile Sを契約してみました。

P3240010

ソフトバンクのSIMロックがかかったiPhoneで使える

 日本通信の提供するソフトバンク系MVNOは、ソフトバンクのSIMロックがかかったiPhoneでも使えるというのが売りの1つです。U-mobile SのSIMカードにも、裏面に「SIM LOCK iPhone用」と記載されており、ソフトバンクのiPhoneで使えることをうたっています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
裏面には「SIM LOCK iPhone用」の文字が

 このSIMカードを、まずはソフトバンクのiPhone 6に挿してみました。このiPhoneはSIMロックがかかっており、なおかつ、SIMロック解除のガイドラインが強化される前に発売された端末であるため、SIMロックを外す手段がありません。試しにドコモのSIMカードを挿してみると、「SIMが無効です」と表示されます。

3
ソフトバンクのiPhone 6にドコモのSIMを挿してみた

 このiPhoneに、U-mobile SのSIMカードを挿してみたところ、すぐにSIMカードを認識し、すぐにソフトバンクの電波をつかみました。3Gから4Gに上がるのに、ソフトバンク純正のSIMカードより時間がかかった点以外は、特に大きな問題もありませんでした。

4
U-mobile Sは、そのまま読み込むことができた

 そのままでは通信ができないのは、ドコモ系MVNOと同じ。通信するためにはAPNをU-mobile Sのものに変更しなければならず、iPhoneでは、構成プロファイルを利用します。これをWi-Fi経由でインストールすると、通信ができるようになります。MVNOを初めて使う人には難しいかもしれませんが、慣れている人ならサクッと設定することができるはずです。

通信速度はソフトバンクと大きく変わらず

 始まったばかりということもあり、通信速度も快適でした。試しに、14時台に速度を計測してみたところ、安定して20Mbps前後のスピードが出ていました。同じ場所で、ソフトバンクの速度も測ってみましたが、こちらはアベレージで20Mbps台といったところ。ソフトバンクよりはやや遅い印象は受けましたが、体感ではほとんど違いが分かりません。

5

6
上がU-mobile Sで、下がソフトバンク

 その点では、ストレスなく使えるSIMカードと言えるでしょう。ただし、速度を測定したのが3月27日で、サービス開始からまだ1週間も経っていません。今後、ユーザーが徐々に増えていくと、借りている帯域の総量が不足する事態が起こる可能性も十分考えられます。通信速度、特にMVNOのそれは水物のような側面があるので、このスピードは、あくまで“現時点では”という限定がつくことには注意してください。

 また、接続している周波数帯にも違いがありました。速度の測定は、都内・渋谷区で行いましたが、ソフトバンクのSIMカードを挿すとBand 41(TD-LTE)に接続するのに対し、U-mobile SだとBand 3に接続してしまいます。この場所では、Band 41に接続することが多々ありますが、MVNO向けにはBand 41が開放されていない可能性があります。

7

8
U-mobile S(上)を挿したiPhoneは、Band 41に接続しなかった

 ソフトバンクがMVNO向けに用意している資料を見てみると、対象サービスには「※4G通信サービスの通信方式はFDD-LTE方式に限ります」との注意書きがあり、これが適用されたものと思われます。TD-LTEのBand 41は、厳密にはソフトバンクのネットワークではなく、同社が3割の出資をするWireless City Planningのサービスで、MVNOに課すと、「又貸し」になってしまうからでしょう。こうした制約があるため、ネットワークのエリアが完全にソフトバンクと一致するわけではない点には、注意しておきたいところです。

音声通話やテザリングもNG、今後のサービス拡充に期待

 ちなみに、U-mobile Sはもちろん、日本通信の開幕SIMも、音声通話サービスは提供されていません。現状では、データ通信オンリーのため、当然ながら電話をかけることもできず、手続き上の点では、MNPで移ることも不可能になっています。メインの回線を移したいと思っている人には不向きで、あくまで2台目向きのSIMカードと言えるでしょう。

 その際にネックになりそうなのが、テザリングに非対応なこと。iPhoneの「インターネット共有」をオンにしようとすると、ソフトバンクへ問い合わせするよう促されてしまいます。しかし、このSIMカードはあくまで日本通信やU-NEXTがユーザーに提供しているもの。画面の案内通りにソフトバンクに問い合わせても、問題は解決しません。2台目端末としてデータ通信をしつつ、Wi-Fiルーター代わりに使おうと思っている人には、オススメできないSIMカードになっています。

9
テザリングには非対応

 ただし、裏技として、SIMロックのかかっていないAndroidで使うという手はあります。iPhone向けがうたわれているU-NEXT SのSIMカードですが、実はSIMフリーであれば、iPhoneでもAndroidでも使うことができます。iPhone用のプロファイルを見ると、APNは「sb.mvno」、ユーザー名は「umobile@umobile.jp」と表示されています。ここに、ドコモ系MVNOと同じU-mobile向けのパスワードを入れてみたところ、きちんとネットワークに接続できました。

10
Mate 9に挿し、APNを入れたところ、通信ができた

 ここまでするなら、より料金の安いドコモ系MVNOでいいのでは……という気がしないでもありませんが、生活圏のエリアによっては、ソフトバンクの方がいいという人もいるでしょう。料金は1GBが880円、3GBが1580円、7GBが2980円、30GBが4980円と、ドコモ系MVNOよりも割高な傾向にあるため、ソフトバンクのSIMロックがかかった過去のiPhone、iPadを復活させたいという人や、どうしてもソフトバンクがいいという人以外は、サービスの拡充を待ってもいいかもしれません。