2015年5月以降に発売された端末は、原則としてSIMロックの解除が可能です。これは、総務省で定められたガイドラインに従っているため。対象となる端末はiPhoneやAndroidのスマホだけでなく、フィーチャーフォンやルーターでもSIMロックの解除は可能です。

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 ただし、犯罪防止の観点から、一定の猶予期間が設けられていました。会社によって若干日数は異なりますが、購入からおおむね180日から6カ月は、SIMロックの解除ができません。安価に購入した端末が即転売されるのを防ぐためです。この期間が、ガイドラインの改正によって短縮されようとしています。

改正後は100日程度でSIMロックの解除が可能に

 総務省は、11月18日に、「モバイルサービスの提供条件・端末に関するガイドライン」を発表しました。これはまだ正式なものではなく、文言などに修正が入る可能性はありますが、SIMロック解除不可期間の新たな目安も、ここで示されています。このガイドラインは12月19日までパブリックコメントを受けつけており、2017年1月にはこれらの意見を踏まえたうえで、改正される予定です。

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ガイドラインが改正され、SIMロック解除ができない期間が短縮される見込み

 改正ガイドラインには、SIMロックの解除不可期間は「100日を超えない程度」と定められています。端末の代金がきちんと支払われているかどうかの確認には、180日も必要ないというのが期間を短縮する根拠です。SIMロックをかけることや、SIMロックの解除不可の期間を設けること自体は否定されていませんが、期間は今より80日程度、短くなるようです。

 また、ガイドラインには、「端末代金が一括して支払われた場合には、事業者が当該支払を確認できるまでの期間とする」とも記載されています。先に挙げた100日というのは、割賦で購入している場合のこと。割賦を利用せず、一括で端末を購入するようなケースでは、支払いが確認できたあと、すぐにSIMロックの解除を可能にすべきだというわけです。
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 ガイドラインによると、解除不可期間を180日から100日に短縮するのは、2017年8月1日から。一方で、一括購入時の即時SIMロック解除は2017年12月1日からで、実際にシステムが変わるまでは、もう少し時間がかかりそうです。とは言え、実現すれば、ユーザーが端末そのままで、キャリアを移ることが容易になります。ユーザーにとっては、歓迎すべき制度の改善といえるでしょう。

MVNOへのSIMロック解除も禁止になるか

 もう1つ大きな変化としては、MVNOに対するSIMロックの廃止が挙げられます。現状では、ドコモ端末の場合、同じドコモからネットワークを借りるMVNOであれば、SIMロックを解除する必要はありません。MVNOのSIMカードもドコモから借りたもので、端末側からはどちらも「ドコモのSIMカードが刺さっている」と認識されるからです。

 一方で、auの場合、少々事情が異なってきます。auのMVNOの場合、3Gに対応したSIMカードと、VoLTEに対応したSIMカードの主に2つが存在します。どちらもともにauから借りているSIMカードではありますが、後者のVoLTE対応SIMは、auのSIMロックがかかった端末では利用することができません。同じauのSIMカードにも関わらず、SIMロックの解除が必要になるのです。
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auのVoLTE対応端末は、SIMロックを解除しないとauのMVNOでも利用できない

 こうした同一ネットワークのMVNOに対するSIMロックが、ガイドラインでは禁止される見込みです。実現すれば、auの端末もSIMロック解除不要で、auのネットワークを使うMVNOで利用できるようになるでしょう。実施時期は、2017年8月1日以降に発売される端末から。2017年の夏モデルには間に合いませんが、例年通りのスケジュールで発売されるのであれば、冬モデルや次期iPhoneは対象になります。

 とは言え、たとえばauで販売された端末をドコモ系MVNOで使うようなケースでは、やはりSIMロックの解除が必要になります。逆に、ドコモで販売された端末をau系MVNOで使う場合も、同様にSIMロックを解除しなければなりません。

残る対応周波数やキャリア向けサービスの問題

 一方で、SIMロックの解除だけで、すべての問題が解決するわけではありません。たとえば、対応周波数の違いはその1つ。特にAndroidのスマホは、各キャリアに合わせて周波数を最適化していることもあり、SIMロックを解除したからといって、他キャリアで同じように使えるとは限りません。

 一例を挙げると、ドコモの冬モデル「Xperia XZ」は、Band 1(2GHz帯)、Band 3(1.7GHz帯)、Band 19(800MHz帯)、Band 21(1.5GHz帯)、Band 28(700MHz帯)に対応していますが、auの800MHz帯であるBand 18/26には非対応。auは800MHz帯を中心にエリアを構築しているため、SIMロックを解除できても、auのSIMカードを使うと電波をつかみにくいことがあります。

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Xperia XZの対応バンド。ドコモの持っている周波数に最適化されていることが分かる

 また、キャリアによっては、自社サービスを利用するためのアプリをプリインストールしている端末もあり、他社のSIMカードを挿すと使えない場合も。たとえば、ドコモのAndroid端末では、他社のSIMカードを挿すと、docomo IDの認証ができないアラートが出てしまいます。ソフトバンクのように、テザリングをアプリで制限しているケースも。iPhoneのように1機種ですべてのキャリアに対応する端末もありますが、Androidはキャリアの制限も多いため注意が必要です。

 一方で、SIMロック解除不可期間が短くなったのは一歩前進。MVNOに対するSIMロックもなくなり、ユーザーがより自由にキャリアを移りやすくなったのも事実です。同時に、SIMフリースマホも十分なラインナップがそろいつつあり、MVNOを使う場合は、これらの購入を検討してみてもいいでしょう。