格安SIMや格安スマホという言葉が先行し、注目を集めるMVNO。一方で、契約者数は統計の取り方にもよりますが、まだ500万を超えたところで、広くあまねく普及したとは言いがたい状況です。

 ただ、テレビCMや雑誌、Webなどで情報を見て、気になっている人も多いはず。そこで今回は、格安SIMの契約の仕方を、基本中の基本からおさらいしてみました。

格安SIMの契約はどこでできる?

 MVNOと言っても、携帯電話事業者であることに変わりはありません。違いは、大手キャリアは基地局などの設備を持ち、直接サービスを提供しているのに対し、MVNOはそれらの事業者から設備を借りているところにあります。一言で言えば、価格が安いのもそのためです。
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大手キャリアから回線を借りてサービスを提供


 借りているとはいえ、通信キャリアの1つであることも事実。利用には、「契約」が必要になります。ただ、大手キャリアはドコモショップ、auショップ、ソフトバンクショップのように自社のブランドを冠したショップを持っていますが、MVNOのショップを見かけることは少ないかもしれません。

 では、どこで契約できるのか。答えは2つあり、リアルな店舗とネットになります。リアルな店舗といっても、大手キャリアとは異なり、独自の店舗を持っているケースはまだまだ少ないのが現状。契約しやすいのは、やはり家電量販店などにあるカウンターです。

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家電量販店の中などに、カウンターがあることも

 やや例外的になりますが、楽天モバイルやトーンモバイルのように、自社でショップを整備しているMVNOもあるため、ここと契約したいと決めている人は、そうした店舗を訪れてみてもいいでしょう。

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自社ショップを持つMVNOも。写真はトーンモバイル

 もう1つの販路は、ネットです。こちらはいたってシンプルで、契約したいMVNOのサイトにアクセスすればOK。リアルなショップとは異なり、すぐにSIMカードが手に入るわけではありませんが、ほとんどの場合、本人確認などもネットで完結するようになっています。料金プランなどを詳しく把握しているときは、ショップに行く手間や労力が省けます。

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ネットで契約することも可能

 なお、ショップに行く際は、契約のための書類が必要になります。本人確認書類としては、運転免許証や住民基本台帳カードなどを用意しておきましょう。また、MVNOでは、銀行引き落としが一般的ではなく、支払方法としてはクレジットカードを採用しているところがほとんどです。そのため、もしクレジットカードを持っていない場合は、あらかじめ作っておくことをオススメします。

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音声プランの場合は、本人確認書類の提出が必須

 今使っている電話番号をそのまま移したいときは、番号ポータビリティ(MNP)も利用できます。その際には、あらかじめ各社のサイトにアクセスするか専用ダイヤルに電話して、「MNP予約番号」を発行しておくようにしましょう。

料金プランはどうなってるの?

 格安SIM、格安スマホと呼ばれるほどなので、料金が安いということは想像がつくかもしれません。では、どの程度安いのか。今だと3GBのデータ通信で900円という価格が、相場になっています。同じ3GBのあるauだと、料金は4200円。価格的には、1/4以下になっていることが分かります。

 通話も利用する場合は、基本使用料のような形で、追加料金がかかります。こちらの相場は700円前後です。つまり、音声通話対応のSIMカードで3GBのデータプランを契約すると、1600円前後になるというわけです。この価格については、MVNOによって大きく異なることはありません。回線の貸し出し条件が同じで、MVNO同士の競争もあるため、大体同じぐらいに落ち着いているのが現状です。

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音声プランの場合、3GBで1600円が相場。画像はIIJmioのもの

 また、新規契約の際には、事務手数料が3000円程度かかります。MNPの場合、元々のキャリアで2年契約をしていると、1万円弱の違約金(契約解除料)も発生します。端末の購入に伴う割引もなくなってしまうため、契約を切り替えるタイミングは考えた方がいいでしょう。

 ただし、端末の支払いが終わっていれば、それほど違約金を意識する必要はないのかもしれません。1万円程度なら、毎月の料金の差ですぐに元が取れるからです。たとえば、ドコモで2GBのプランを契約していた場合、料金は6500円。MVNOだと1600円程度で、使えるデータ量も3GBにアップします。

 差額は4900円もあるため、1万円程度の違約金なら、2カ月ちょっとで元が取れることになります。この縛りをあまり強く意識しすぎるのも、考えものと言えるかもしれません。

端末はどうすればいい?

 ここまではSIMカードそのものの話をしてきましたが、実際に通信サービスを受けるためには、そのSIMカードを挿す端末も必要になります。大手キャリアの場合、ショップに行けば端末を買えますが、MVNOではどうすればいいのでしょう。

 これも答えは複数あります。代表的な答えとなりそうなのが、SIMカードと同じタイミングで買うというもの。家電量販店で契約するようなときは、「SIMフリーコーナー」に行けば、MVNOで使える端末が置いてあります。価格の幅は広くなっていますが、今では3万円を切る端末でも、十分サクサク動くため、不満を感じることは少ないでしょう。

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SIMフリー端末の1つで、ファーウェイの「P9 lite」

 もちろん、端末だけをWebショップなどで別途買って使うこともできます。この場合、その端末が契約しようとしているMVNOで動作検証されているかどうかも、チェックしておくと安心です。

 もう1つの買い方が、MVNOのセット販売を利用するというもの。MVNOの中にも、端末を持っていない人のために、セット販売を行っている会社があります。契約とセットにすることで、価格を安めにしているところもあるので、同時購入という手も検討してみる価値はありそうです。

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楽天モバイルのように、大手キャリア並みに端末が充実しているMVNOも

 さらに、手持ちの端末や中古端末を使うという手もあります。手持ちの端末と言っても、ほとんどの人は、MVNOに移る前に、大手キャリアを使っていたはず。その端末がそのまま使えるのかという疑問もあるはずです。

 実は、それも条件が合えば、使うことができてしまいます。その条件とは、MVNOがドコモから回線を借りており、元々利用していたのがドコモであること。この場合、SIMカードそのものはドコモと認識されるため、APNなどの接続情報を手動で書き換えれば、ネットに接続できます。

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大手キャリアの端末をそのまま使えることも。写真はドコモの夏モデル

 auユーザーがauのMVNOに移るというケースも考えられますが、auの場合は少々条件が複雑。LTEオンリーの場合、対応したSIMカードを契約し、端末のSIMロックを外さなければなりません。

 さらに、2015年5月以降に発売された端末であれば、SIMロックを解除することで、MVNOで使えるようになる可能性もあります。“可能性がある”と書いたのは、使えないケースも存在するため。スマホなどの通信機器が通信をするためには、周波数がキャリアのものと合致してなければならないからです。

 現状だと、LTEは3社とも共通の周波数を持っており、使えるケースは増えていますが、エリアが狭くなってしまう可能性もあります。そのため、キャリア端末をSIMロック解除してMVNOで使うのは、広くオススメできる方法ではないことも付け加えておきたいと思います。

SIMカードと端末が手に入ったら簡単な設定をするだけ

 SIMカードと端末の両方が手に入ったら、あとは使うだけ……と思われるかもしれませんが、買い方によっては簡単な設定も必要になります。

 MVNOから直接端末を買ったような場合は特に必要ないケースもありますが、SIMカードと端末をバラバラに買ったり、以前使っていた端末をそのまま流用するようなときは、APNと呼ばれる情報を書き換えなければなりません。

 現在、多くのSIMフリー端末には、各MVNOのAPNがプリセットされていますが、マイナーなMVNOだと、ないこともあります。また、大手キャリアの端末だと、MVNOのAPNまでフォローしていることは非常にまれです。

 APNは、「アクセス・ポイント・ネーム」の頭文字で、インターネットにつなぐための入り口のようなもの。MVNOの用意した設備につなぐための文字列と覚えておけばいいでしょう。Androidの場合、「設定」の「モバイルネットワーク」などにある「APN」で、編集が可能です。設定もそれほど難しくないため、手順にしたがいながらやっていけばすぐにできるでしょう。

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APNの設定が必要になることもある

 一方で少々やっかいなのが、iPhoneです。iPhoneには、挿すSIMカードによって、自動で設定項目を変える機能があり、日本のSIMカードだと、APNの設定が隠されてしまいます。これを強制的に変えるのが、「構成プロファイル」と呼ばれる設定用ファイル。iPhoneでは、これを各MVNOのサイトなどから、ダウンロードしてくる必要があります。

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iPhoneは「構成プロファイル」が必要

 ネットにつなぎたいのに、設定のためにネットが必要というのは、やや本末転倒な感もありますが、そのぶん、文字を入力する必要がなく、タップをしていくだけと手軽。Wi-Fiがある場所で、設定をするようにしましょう。

 ここまで準備ができれば、あとは使うだけ。格安スマホデビューも、それほど難しくないことがお分かりいただけたでしょうか。夏休みなど、まとまった時間があるときに、ぜひチャレンジしてみてください。