「格安SIM」とも言われるMVNOですが、音声通話の料金に関しては、必ずしも「格安」ではありません。電話をし過ぎると、かえってトータルでの料金は高くついてしまうこともあります。こうした不満を解消する、音声定額プランも徐々に出始めています。


通話の時間によっては大手キャリアより割高になることも

 格安SIMはデータ通信の料金が大手キャリアに比べ、大幅に安く設定されている一方で、音声通話はその限りではありません。料金の相場は、30秒20円。どの会社を選んでも、この料金はほぼ同じです。

 たとえば、IIJmioの料金プランは毎月5GBまで使える「ライトスタートプラン」が月2220円で、ドコモで5GBの「データMパック」を選択した際の8000円より大幅に安くなっていますが、音声通話の量によっては、この差が逆転してしまうこともあります。

 仮に、1カ月、2時間電話したと仮定してみましょう。2時間は分に直すと、120分。1分間に40円の通話料がかかるため、この場合、通話料だけで4800円がかかることになります。合計での料金は、7020円です。カケホーダイのあるドコモの8000円よりは割安ですが、差はわずか。ドコモには端末購入に伴う月々サポートがあることを考えると、決して格安とは言えない料金になっていることが分かります。

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 さらに電話した場合、料金は完全に逆転してしまいます。1カ月に3時間電話したとすると、通話料は7200円。合計で9420円になり、ドコモの8000円より高くなります。大手キャリアのカケホーダイなどを使っていた時の感覚と同じように電話すると、料金が割高になってしまうことがあるというわけです。

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MVNOの通話料はなぜ高い?

 なぜ格安SIMでは、このように音声通話の料金が高いのでしょうか。理由は、ネットワークの借り方にあります。データ通信の場合、「相互接続」と呼ばれる方式でMVNOが大手キャリアからネットワークを借りています。その際の料金は、10Mbpsごとに定められており、どのくらいの帯域を借りるのかは、MVNO側にゆだねられています。10Mbpsとは、1秒間に流すことにできるデータの量が10Mビットということ。これを、MVNOのユーザーで分け合うため、料金が安くなります。

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 これに対して、音声通話は「卸」の方法が採用されています。簡単に言えば、大手キャリアのサービス一式をそのまま借り、ユーザーに提供しているのがこの方法です。データ通信とは異なり、間にMVNO独自の設備が入らないため、料金には柔軟性がありません。卸の料金は厳密に定められており、ここに利益を乗せると、30秒辺りの通話料もおのずと決まってきます。どのMVNOも、30秒20円になっているのは、そのためです。

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ドコモのMVNO向け資料より抜粋

 この料金を安くする方法もあります。「プレフィックス」と呼ばれる仕組みを使い、大手キャリアの設備を迂回するのは、その1つの方法。以前、このブログでも紹介していた「楽天でんわ」などは、その具体例です。こうした手法を使って、通話料の「完全定額」を実現する会社も出てきました。

 

完全定額で通話できるサービスとは

 プレフィックスのサービスを応用して、完全定額を実現した会社も出てきました。楽天モバイルの「5分かけ放題オプション」が、それです。このサービスは、「楽天でんわ」を使って実現しており、月額850円で、5分までの通話が無料になります。上で挙げた、2時間、3時間電話した場合でも、1回の通話が5分を切っていれば、850円で済んでしまうのです。

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 楽天でんわは、楽天モバイルのユーザーに限らず、誰もが利用できるサービスですが、この5分かけ放題オプションは、楽天モバイルのユーザー限定。通話料を節約したい人にとっては、うってつけのプランと言えるでしょう。

 

 完全に無料というわけではありませんが、いわゆる無料通話がついた料金プランもあります。UQmobileの「ぴったりプラン」がそれで、2980円の料金に、1200円分の通話料があらかじめ含まれています。3Gのころには、基本使用料に応じた無料通話がついているのが一般的でしたが、UQmobileのぴったりプランも、それと同様の特徴があるというわけです。

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 1200円分は、時間に換算すると、30分に相当します。1回の通話がきっちり30秒ごとに終わるとは限らないため、実際に話せる時間はもう少し短くなるケースもありますが、1日に1分程度、短い通話をするだけという場合にはお得感があるでしょう。より通話が多い人は、1000円プラスすると、無料通話が2400円分になります。このオプションを利用すると、データ通信も毎月3GBまで使えるようになるため、お得感が強くなります。

 

 以上は、一般の音声通話回線を利用した電話のプランですが、これらとは異なる方法で、音声定額を実現しているサービスもあります。ニフティのMVNOであるNifMoが提供している「NifMoでんわ」が、それです。このサービスは、IP電話の仕組みを利用しています。一般的な音声通話とは異なり、データ通信の混雑状況に左右されてしまったり、090/080/070の電話番号が使えないなどの欠点はありますが、月額1300円でそれ以上の通話料が一切かからないのは魅力かもしれません。

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 また、キャンペーンで期間は3カ月間と限られていますが、BIC SIMも、1回100秒(1分40秒)までの通話が、100回まで無料になります。こちらも、プレフィックスサービスの「みおふぉんダイヤル」を利用した場合です。期間は限られていますが、通話をどのくらいするのか分からないのでまずはお試ししてみたいという人には、うれしいキャンペーンと言えるでしょう。

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 こうした音声定額や無料通話サービスは、MVNOに紐づいたものです。自分が利用しているキャリアに、こうしたサービスがない場合は、LINEや050 PlusなどのIP電話サービスも駆使して、料金が安くなるよう工夫してみることをオススメします。