現在、大手キャリアの料金プランはいずれも「従量制」になっています。基本的にはあらかじめ使うぶんだけを先に契約して、それを超えると通信速度に制限がかかります。

 格安SIMと呼ばれるMVNOでもこれは同じ。3GBだったり、5GBだったりという容量のプランで契約して、超えたときは速度制限がかかります。また、追加の料金を支払うことで、速度制限を解除することも可能です。

 これに対して、完全定額をうたうMVNOも登場しました。

 その先駆けとなったのが、NTTぷららの「ぷららモバイルLTE 完全無制限プラン」。データ通信の速度を3Mbpsに絞り、その代わりに1カ月の容量制限を撤廃して話題を集めました。

 この完全無制限プランに対抗してきたのが、U-NEXTのU-mobileと、日本通信のb-mobile。こちらの料金プランに関しては、ぷららモバイルLTEのようなあらかじめ速度を絞る制限もありません。LTEの最大速度、今なら下り最大225Mbpsで通信ができるというのが特徴です。

 とは言え、MVNOは大手キャリアから借りている「帯域」、つまりデータの通る道幅に制限があります。いくら速度制限なしで完全定額をうたっていても、この帯域が十分でなければ、利用者が増えるに従い、速度は低下してしまいます。バランスが取れなければ、あっという間に速度が出なくなってしまうおそれもあります。

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 完全定額の料金プランは、MVNOの設備にとってチャレンジングなものであるというわけです。

 そこで、これら3社のSIMカードで、どの程度の速度が出るのか、時間帯別に計測してみました。なお、速度測定は5月17日の渋谷で行っています。場所を固定して、なるべく時間帯以外の差が出ないようにしていますが、つかんでいる基地局が異なっている可能性もゼロではありません。また、この速度結果は、あくまでもこの時間帯に限られたもの。常に同じになるとは限らない点には、注意してください。

 早速、その結果を見てみましょう。

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お昼ごろに測った結果は?

 MVNO最大の“鬼門”と言われるのが、お昼休みの時間帯。サラリーマンが一斉に使い始めることもあって、帯域が不足しがちになるようです。

 中には、極端に速度が落ちる会社もあります。

 ただ、今回の測定に関しては、あまりその影響が現れていませんでした。これについては、あとの時間帯と比べてみると分かります。全体として速度が落ち気味ではありますが、極端に遅くなっているわけではありません。

 測定日が日曜日だったため、利用者が1日にわたって分散したせいなのかもしれません。

  1回目(下り/上り) 2回目(下り/上り) 3回目(下り/上り) 平均(下り/上り)
U-mobile 0.82/4.96Mbps 0.60/3.26Mbps 0.66/6.00Mbps 0.69/4.74Mbps
b-mobile 1.75/4.83Mbsp 1.99/4.30Mbps 1.72/8.31Mbps 1.82/5.81Mbps
ぷらら 1.71/5.07Mbps 2.03/5.44Mbps 1.71/4.71Mbsp 1.81/5.07Mbps

 一方で、上の表を見ると分かるように、速度は全体的に遅め。U-mobileに至っては、1Mbpsを下回っており実用性に疑問符がつく状態です。

 比較的速いb-mobileについても、2Mbpsを下回っており、最大3MbpsをうたうぷららモバイルLTEと大差がありません。

 

夕方でも傾向は変わらず

 次に、時計の針を、4時間ほど進めて夕方の結果を見てみましょう。

 こちらも、結論から言うと、お昼と結果はさほど変わっていません。全体的に速度がやや低下していますが、体感では分からないレベルです。

  1回目(下り/上り) 2回目(下り/上り) 3回目(下り/上り) 平均(下り/上り)
U-mobile 0.65/3.97Mbps 0.55/11.13Mbps 0.75/10.15Mbps 0.65/8.42Mbps
b-mobile 1.75/6.05Mbsp 1.62/4.24Mbps 1.70/5.92Mbps 1.69/5.40Mbps
ぷらら 1.46/5.14Mbps 1.38/4.97Mbps 1.66/4.63Mbps 1.55/4.91Mbps

 ここでも、U-mobileは1Mbpsを下回ってしまいました。b-mobileは1.82Mbps出ているものの、「高速データ通信」と銘打つ速度ではありません。

 ぷららモバイルLTEも制限値の3Mbpsを下回っており、改善が望まれます。

夜になって速度が改善傾向のb-mobile

 20時台になると、b-mobileの速度が改善する傾向にありました。

 実測値の平均は下りで2.79Mbps。3社の中でも、一番の速度が出ています。

  1回目(下り/上り) 2回目(下り/上り) 3回目(下り/上り) 平均(下り/上り)
U-mobile 0.65/3.97Mbps 0.55/11.13Mbps 0.75/10.15Mbps 0.65/8.42Mbps
b-mobile 1.75/6.05Mbsp 1.62/4.24Mbps 1.70/5.92Mbps 1.69/5.40Mbps
ぷらら 1.46/5.14Mbps 1.38/4.97Mbps 1.66/4.63Mbps 1.55/4.91Mbps

 これに対して、ぷららモバイルLTEは、速度が一定傾向から変わらず。夕方よりやや速度が落ちていますが、1Mbps以上はキープしています。

 3Mbpsといううたい文句には及んでいませんが、ある意味安定して通信できていると言えるかもしれません。

 U-mobileも、この時間帯にはやや速度が改善傾向にあり、ようやく1Mbpsを超えてきました。

深夜に差し掛かかると、速度はまた低下傾向に

 深夜に差し掛かりつつある、22時台にも計測を行いました。

 この時間帯になると、再び速度が落ち始めてきます。U-mobileは、1Mbpsを下回ってしまうことに。20時台に2Mbpsを超えたb-mobileも、1.62Mbpsとやや低調です。

 ぷららモバイルLTEは、今回計測した4つの時間帯でもっとも遅い、1.14Mbpsとなっています。

  1回目(下り/上り) 2回目(下り/上り) 3回目(下り/上り) 平均(下り/上り)
U-mobile 0.65/3.97Mbps 0.55/11.13Mbps 0.75/10.15Mbps 0.65/8.42Mbps
b-mobile 1.75/6.05Mbsp 1.62/4.24Mbps 1.70/5.92Mbps 1.69/5.40Mbps
ぷらら 1.46/5.14Mbps 1.38/4.97Mbps 1.66/4.63Mbps 1.55/4.91Mbps

完全定額プランは速度に要注意

 1日測定したみた限りでは、残念ながら、どの会社も速度は十分とは言えませんでした。ドコモであれば、時間帯を問わず40Mbps以上出る場所での測定なので、そこと比較すると平均速度は1/20以下です。

 「速度制限なし」をうたうには、残念な結果と言えるでしょう。最大3MbpsをうたうぷららモバイルLTEに関しても、2Mbpsを超えることがなかったため、今後の改善に期待したいところです。

 この結果からも分かるように、完全定額プランはMVNO側の帯域が足りなくなりがちです。MVNOも帯域を増やすことはありますが、ユーザー増とのバランスが取れないと速度が低下するおそれは十分あります。

 ただし、完全定額で容量の心配をせずに使える安心感があることも事実。動画視聴や大容量アプリのダウンロードはWi-Fiで行ったり、多少時間がかかってもいいというのであったりすれば、割安感があります。

 こうしたバランスを見極め、従量制のプランとどちらがいいのかを選ぶのが正解と言えるでしょう。