携帯電話は、電波を使って通信をしています。これは、スマートフォンも同じ。基地局の出す電波と、端末が受けられる電波の周波数が合っていないと、通信することはできません。

 無線機というと難しく聞こえてしまうかもしれませんが、より身近なものだと、テレビやラジオが近い存在と言えるでしょう。電波の使い方は携帯電話とは異なりますが、テレビやラジオも電波を受ける機器の1つ。周波数を合わせると番組が映る、番組が聞こえるはずです。

 それと同じように、携帯電話も周波数が合わなければ通信できません。

 最近では、各社が発売するSIMフリー端末のスペックに、「Band」や「対応周波数」といった表記があります。これを見て、使おうと思っているSIMカードのキャリアと合っているか確認すればいいというわけです。

 今回は、その大前提となる、各社が3GやLTEで使う周波数帯を解説していきます。

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MVNOの周波数は大元のキャリアを見ればわかる!

周波数は設備を借りたキャリアと同じ

 格安SIMを販売するMVNOは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクといったキャリアから、設備を借りてサービスを行っています。

 実際に電波を出している基地局は、キャリアのものと同じというわけです。形態にもよりますが、その先の加入者を識別する装置や、ネットワークに接続する装置を、MVNOが自前で持っている(もしくは他のMVNOから借りている)のが一般的です。

 つまり、基地局自体は、キャリアと同じものを使っていることになります。

 そのため、周波数はドコモのMVNOであればドコモと同じ。周波数ごとの通信方式や、その周波数帯域によって決まる最大速度も変わりはありません。

 MVNOが活用する周波数帯を調べたいときは、大元のキャリアを見ればいいというわけです。

 

LTEは4バンド活用するドコモ

 では、MVNOの多くが回線を借りている、ドコモはどのような周波数帯でサービスを行っているのでしょう。

 ドコモは現在、3GとLTEの2つでサービスを行っており、両方がMVNOに貸し出されています。

 3GはW-CDMAやUMTSと呼ばれる方式。3Gは、2.1GHz帯(Band1)を中心にエリアを構築していますが、このほかにも800MHz帯(Band6もしくはBand19)や1.7GHz帯(Band9)を3Gに使用しています。

 LTEも、当初は2.1GHz帯(Band1)を中心に、エリアの構築が進められました。

 その後、1.5GHz帯(Band21)や800MHz帯(Band19)も活用し、高速化を図りました。また、東名阪とエリアは限定されていますが、大都市では1.7GHz帯(Band3)でもエリアを展開しています。

 この1.7GHz帯のBnad3については、20MHz幅と太い帯域を持っているため、下りの速度は最大で150Mbpsとなります。LTEの「カテゴリー4」に対応した端末であれば、この速度を出すことができます。

 ドコモが持っている周波数帯は、以下の表を見てみてください。

  
表1

auは800MHz帯でLTEを広げる、3Gは通信方式が特殊

 auの電波を唯一利用しているMVNOがケイ・オプティコムです。

 auはドコモやソフトバンクと異なり、3GにCDMA2000 1Xと呼ばれる世界的にも珍しい方式を採用しました。そのため、auの3Gを利用できるSIMフリー端末は非常に少ないのが現状です。mineoの音声通話まで使えるSIMフリー端末が少ない背景には、こうした事情があります。周波数帯は800MHz帯をベースに、2.1GHz帯も活用しています。

 一方で、LTEについては他社と同じ規格を採用しました。ドコモと異なり、サービス開始当初からプラチナバンドと言われる800MHz帯(Band18)を使い、一気にエリアを広げてきたのが特徴です。

 ドコモと同じ、2.1GHz帯(Band1)も活用し、ここも基盤バンドの1つとしてエリアを広げつつあります。このほか、1.5GHz帯(Band11)も補助的に活用しています。また、auが直接運用しているわけではありませんが、TD-LTE方式(※)と互換性のある、UQコミュニケーションズのWiMAX2+もMVNO向けに貸し出されており、mineoなら一部の端末で利用できます。こちらの周波数帯は2.5GHz帯(Band41)です。

※TD-LTE:上りと下りの区別を、周波数ではなく時間で行うLTEの方式。一般的なLTEとは方式が異なり、TD-LTEと呼んで区別される。日本ではUQコミュニケーションズ(WiMAX2+)とソフトバンク傘下のWireless City Planning(Softbank 4G)で利用されている。
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(11月10日 編集部注:2.5GHz帯の部分が「WiMAX」になっていました。正しくは「WiMAX 2+」ですので修正いたしました)

ソフトバンクは2GHzが中心、900MHz帯もスタート

 ソフトバンクの回線を使うMVNOもまだほとんど存在しませんが、実はワイモバイルが格安SIMとして売り出している回線は、ソフトバンクのMVNO回線です。

 ソフトバンクについては、3Gを2.1GHz帯(Band1)、900MHz(Band8)、1.5GHz帯(Band11)で運用中。一方で、LTEは2.1GHz帯(Band1)が中心です。最近では、ごく狭いエリアで900MHz帯(Band8)のLTEをサービスインしました。この2つを中心にしながら、旧イー・アクセス(現ワイモバイル)の1.7GHz帯(Band3)につながる「ダブルLTE」も実施しています。この1.7GHz帯は、ワイモバイルが混雑していないときにだけ、限定的に利用する仕組みになっています。

 また、KDDIと同様、ソフトバンクは傘下にTD-LTEと互換性を持つAXGPでサービスを行うWireless City Planningがあり、これをソフトバンクではSoftBank 4Gと呼んでいます。この周波数は2.5GHz帯となります。
 表1

 ワイモバイルが単体で販売しているSIMカードでも、この周波数帯を利用できます。

帯域幅とLTEのカテゴリーにも要注意

 LTEは、帯域幅とカテゴリーで速度が決まります。
 帯域幅とカテゴリーについては以下のイラストのような関係です。
    
  道

 たとえば、ドコモの1.7GHz帯は最大で150Mbps出ますが、これは帯域幅を20MHz幅持っているため。

 5MHz幅ごとに37.5Mbpsずつ速度が変動する仕組みで、15MHz幅なら112.5Mbps、10MHz幅なら75Mbps、5MHz幅なら37.5Mbpsの速度が出る計算です。

 同じドコモでも、たとえば2.1GHz帯は10MHz幅の基地局が多いため、下りの最大速度は75Mbpsであることが一般的です。

 また、LTEの端末には、カテゴリーが設定されており、これによって最大の速度に制約を受けます。今年になって発売される端末はほとんどが下り最大150Mbps対応の「カテゴリー4」ですが、「iPad mini 3」のように「カテゴリー3」どまりの端末もあります。この場合、いくら帯域幅があっても、下りの速度は最大100Mbpsになります。

 

2つの周波数帯を掛け合わせるキャリアアグリゲーション

 帯域幅によって速度が決まるLTEですが、20MHz幅ものまとまった帯域を確保するのは一筋縄ではいきません。

 各社とも、電波は国に割り当てられていて使える帯域の幅が限られます。その上、3Gも並行して運用してからです。

 それを補う技術として開発されたのが、キャリアアグリゲーション。2つの異なる周波数帯を足して、帯域幅を増やし、速度を向上させることができます。

 現在、キャリアアグリゲーションを行っているのは、KDDIとソフトバンクの2社。ドコモは来春に開始する予定です。

 KDDIは2.1GHz帯(Band1)と800MHz帯(Band18)を、ソフトバンクは2.1GHz帯(Band1)と900MHz帯(Band8)でのキャリアアグリゲーションを行っています。

 現状では、MVNOでもキャリアアグリゲーションは利用可能です。たとえば、mineoでは対応端末にSIMカードを挿せば、通信速度は下り最大150Mbpsになります。


最新端末と対応周波数をチェックしてみよう

SIMフリーのiPhone 6は?

 日本で発売されているSIMフリーのiPhone 6は、キャリアから買えるものと基本は同じ。対応周波数自体も、変わりはありません。

 3キャリアから発売されていることもあり、SIMフリー版も、どのキャリアでも使うことができます。

 

 

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 LTEの対応周波数は以下のとおりです。

表

  ド コモとKDDIの1.5GHz帯には非対応ですが、そのほかはTD-LTEも含め、すべてカバーしていることが分かります。

 ただし、mineoはiOS 8で電波をつかまなくなりましたので、現在は利用できません。また、現状ではワイモバイルもiPhone 6に挿せるサイズのnano SIMを出してないので、MVNOでは事実上、ドコモ系だけが利用できる端末と考えておけばよいでしょう。

Nexus 6の対応周波数は?

 次に、近日発売予定のGoogleブランドの最新端末「Nexus 6」の対応周波数を見ていきましょう。

 

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 ちなみに、この端末もSIMカードのサイズはnano SIMです。
※発売前の端末のため、検証済みなわけではありません。

表5

 CDMAに対応していないためKDDIでの利用は難しそうです。LTEもKDDIだと2GHz帯、2.5GHz帯のみです。

 一方で、ドコモとソフトバンクなら、LTEに関しては1.5GHz帯以外なら利用できることになります。

 このほかの主要スマートフォンの対応周波数については、以前掲載されたこちらの記事もご覧ください。

 端末によっては、一部の周波数に対応していなかったり速度が出ないこともあるSIMフリースマホ。特に、キャリアが販売していない機種を購入する際には、詳しい店員さんのいるお店に行く、メーカー公式サイトのスペックをしっかり見る、場合によってはメーカーに問い合わせするなど、ちょっとしたひと手間は必要になりそうです。