格安SIMの広がりを受け、続々と登場しているSIMフリー端末。SIMフリー端末とは、特定のキャリアに紐づいていない端末で、どこの会社のSIMカードでも認識する端末のこと。好きな会社のSIMカードを挿すことができるのが魅力です。

 また、海外に行ったときは、その土地のキャリアが売っているプリペイドのSIMカードを挿せるのもメリットと言えるでしょう。

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 ただし、購入時には注意したい点があります。1つが通信方式。スマートフォンに限らず、携帯電話端末は通信する際にいくつかの方式を使っています。基地局から出ている電波と同じ方式でないと、端末側がそれを受けられないのです。この状態だと、SIMカードを読み込んでも通信することができません。

 もう1つ重要なのが対応している「周波数帯」です。キャリアは周波数ごとに国から電波を割り当てられており、会社ごとに決められた周波数帯を使っています。端末は、その周波数帯に合わせることで通信ができるのです。逆に言えば、これが合っていないと通信することができず、端末によっては思わぬデメリットがあります。電波は目に見えないだけに分かりづらいかもしれませんが、端末購入時には絶対チェックしておきたいポイントです。

 

キャリアのエリアは複数の周波数帯で作られる

3GとLTEでそれぞれに周波数帯がある

 MVNOの多くが回線を借りているドコモは、3Gの人口カバー率100%をうたっています。これは、全国の市役所や町村役場などをカバーしたことでその地域をエリアにしたと見なす数字のこと。実際に全国隅々まで電波が行き渡っているわけではありませんが、1つの指標として用いられてきました。

 ドコモから回線を借りるMVNOも、エリアについては同様で、ドコモと同じ端末を使えば基本的に人口カバー率100%と考えて差し支えありません。

 ここでポイントなのが、「同じ端末を使えば」と書いたところ。ドコモは、3Gの周波数帯として、2.1GHz帯(2GHz帯と表記されることも)、1.7GHz帯、800MHz帯の3つを運用しており、電波の特性に応じた使い分けをしています。

 そして、ドコモの端末は多くがこの3つもしくは、2.1GHz帯と800MHz帯の2つに対応しています。

周波数帯 特徴
2.1GHz帯 もともと3Gはこの周波数帯でエリアを作ってきた。基地局数も多い。
800MHz帯 回り込みやすい周波数帯で、地方を中心整備。都市部でもエリア対策で使われる。
1.7GHz帯 一部エリアで使われてきたが、LTEに転用されているケースも多く最近では非対応の端末も。

 

 ところが、SIMフリー端末はドコモ向けに出しているわけではなく、必ずしもすべての周波数帯に対応しているとは限りません。ここで挙げた3つのうち、2.1GHz帯は欧州やアジアなどの海外で使われることが多いため、どの端末もほぼ対応しています。一方で、800MHz帯のように、日本中心の周波数帯には対応していないことがあります。このような端末にMVNOのSIMカードを挿すと、ドコモが800MHz帯だけでサービスをしているエリアでは、通信ができません。

 下の画像はドコモのエリアマップですが、ここで「FOMAプラスエリア(黄色で表示)」となっている場所で、通信ができないというわけです。

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 LTEでもこれは同じ。ドコモはサービス開始時は2.1GHz帯のみを使っていましたが、ユーザーの拡大に伴い、1.7GHz帯、1.5GHz帯、800MHz帯をLTEでも使うようになりました。都市部のようにユーザーが多い場所は2.1GHz帯や1.7GHz帯、1.5GHz帯を使って密に基地局を設置していますが、地方のようにユーザーが少ない場所では800MHz帯でエリアを稼ぐ傾向にあります。また、もともと東名阪などの都市部では制限があったため、1.5GHz帯の基地局も当初は地方から展開されました。

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 このように、4つの周波数帯を使っているため、場所によっては2.1GHz帯しか使えなかったり、800MHz帯しか使えなかったりすることもあります。3Gと同様、仮にLTEが2.1GHz帯しか対応していない端末を使っていると、800MHz帯だけのエリアではLTEをつかめないのです。

 

対応周波数で速度も変わる

 しかも、LTEは周波数ごとに最大の速度が変わってきます。正確に言うと、LTEはどれだけの幅を使って通信するかで、最高速度が決まります。この区切りは5MHz幅ごとになっており、5MHz幅だと37.5Mbps、10MHz幅だと75Mbps、15MHz幅だと112.5Mbps、20MHz幅だと150Mbpsになります。

 150Mbpsという最高速度が出るためには20MHz幅を使っていなければならず、そのためには手持ちの周波数に余裕が必要になります。ドコモでは現在、1.7GHz帯でのみ150Mbpsのサービスを行っているため、これに対応していない端末では150Mbpsの速度が出ないことになります(厳密にはカテゴリーという考え方があり、基地局と端末の双方がこれに対応している必要があります)。

 それぞれの周波数帯で出る主な最高速度は以下の表を参照してください。

周波数帯 速度
2.1GHz帯 37.5Mbps、75Mbps
1.7GHz帯 150Mbps
1.5GHz帯 112.5Mbps
800MHz帯 37.5Mbps、75Mbps

 

端末によって異なる対応周波数帯

800MHz対応の有無は要注意

 では、本当に端末によってそこまでの違いがあるのでしょうか。実際に販売されているSIMフリー端末の対応周波数を見ていきましょう。

 まず紹介するのが中国ファーウェイ製の「Ascend G6」。コンパクトで3万円台前半買いやすい価格設定ですが、LTEに対応しているなどリーズナブルな端末です。

AscendG6

 

 このモデルの対応周波数は3Gが2.1GHz帯と850MHz帯。LTEが2.1GHz帯と1.8GHz帯です。一見、3Gは2種類の周波数帯に対応しているように見えますが、残念ながらドコモのネットワークでは2.1GHz帯しか利用できません。

 LTEは2.1GHz帯のほか1.8GHz帯が利用可能と表記されています。1.8GHz帯はドコモが使っていない周波数帯に思えますが、これは書き方の違い。海外では、この周波数帯のLTEを1.8GHz帯と呼び、Ascend G6の対応周波数帯域もこれに準拠しています。ドコモの1.7GHz帯と互換性があるため、接続は可能です。

 ただし、LTEについても800MHz帯には対応していません。地方など、この周波数帯だけでエリアができている地域では、LTEの通信ができない可能性があります。1.5GHz帯についても、非対応です。

表2

 

 次に、LGエレクトロニクスのSIMフリー端末「G2 mini」をチェックしてみましょう。

インディゴブラック

 

 このモデルは3Gが2.1GHz帯と800MHz帯、LT1Eが2.1GHz帯、1.7GHz帯、800MHz帯に対応しています。LTEの1.5GHz帯にこそ対応していませんが、ほぼほぼドコモのネットワークに準拠した端末と言えるでしょう。これであれば、ドコモが発売している端末とほぼ同等のエリア、速度で利用することができます。

表3

 

 同じLGエレクトロニクス製の端末でも、「Nexus 5」は少々事情が異なります。海外の幅広い地域で同一モデルが販売されているNexus 5は、対応周波数帯が多いものの、必ずしもドコモの周波数に合致しているとは限りません。

 

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 Nexus 5は3Gが2.1GHz帯、1.9GHz帯、AWS(北米の上下で1.7GHz帯と2.1GHz帯の異なる周波数を使う方式)、850MHz帯、800MHz帯、900MHz帯に対応。LTEが2.1GHz帯、1.9GHz帯、1.8GHz帯、850MHz帯、2.6GHz帯、900MHz帯、800MHz帯に対応しています。

 他の機種に比べ、非常に幅広い周波数帯のように思えますが、残念ながらドコモのネットワークで使えるのは3Gが2.1GHz帯のみ、LTEが2.1GHz帯と1.8GHz帯のみになります。一見、800MHz帯も対応しているように見えますが、これは海外で使われている周波数帯で日本の800MHz帯とは微妙に使っている場所が異なるため互換性が完全にはありません(3Gの800MHz帯はつながることもありますが、必ずそうなるとは限りません)。

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 この中では比較的G2 miniの対応状況が優秀ですが、それでも、G2 miniは1.5GHz帯に対応していません。ここが、ドコモの端末を中古店などで手に入れたときとの違いになります。

 たとえば、ドコモの夏モデルである「Xperia Z2」は「クアッドバンドLTE」をうたっており、LTEは2.1GHz帯、1.7GHz帯、1.5GHz帯、800MHz帯の4つの周波数帯が利用できます。つまり、ドコモのLTEエリア内であれば、どの周波数でも通信できるというわけです。同様に、3Gも2.1GHz帯と800MHz帯に対応しています。

 Xperia Z2以外のモデルも同様で、やはりドコモのネットワークに合わせて作りこまれているぶん、対応している周波数帯は広くなります。

表5

 

対応周波数は事前にしっかり確認を!

 このように、端末によって対応している周波数帯は大きく異なります。

 それによって、エリアや速度が異なってきます。ドコモのネットワークを生かすには、できるだけ幅広い周波数帯に対応した端末を選ぶのがベストと言えるでしょう。

 一方で、価格との兼ね合いもあります。対応周波数帯が少ない端末を購入するときは、事前にドコモのエリアマップを確認して、自分の使いたい場所がしっかりその周波数帯でエリア化されているかを確認しておくことをオススメします。