以前は会社によって差があったMVNOのSIMカードですが、競争の結果、1GBで900円台を設定する会社が多くなっています。

どこを選んでも、料金的な差はそれほどないと言えるでしょう。

では、実際にこれらのSIMカードの違いはどこにあるのか。主要4社の仕組みや速度を検証しました。

 

MVNOは料金も速度もエリアも同じ?

値段や容量の差は小さい

 料金や速度の比較表を見ればわかるように、最近ではMVNOなら1GB、900円台というのが1つの「相場」になっています。

MVNOとは、「Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)」の略で、ドコモやKDDI、ソフトバンクといった通信事業者から、

基地局などの設備を借りて事業を行っています。

そのため、たとえばドコモから回線を借りていれば、最大の通信速度やエリアの広さは、理論上変わらないことになります。

 

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MVNOの多くはドコモから回線を借りている状態で、どこも通信の最高速度はLTEで150Mbps。

エリアも、3Gであれば人口カバー率は100%に達しています。

今回比較するIIJ、OCN、BIGLOBE、日本通信の4社も、これは同じ。

値段や速度、エリアを見ても、4社の違いがあまりピンと来ないかもしれません。

 

実効速度や使い勝手で差が出る

 

 とは言え、実際には違いもあります。まず、1つ目が「実効速度」です。

MVNOの借りている設備は基地局などだけで、パケットなどをコントロールする装置は自前で持っています。

また、ネットワークを借りるのにもお金が必要です。

その際にいくら払ってどの程度の帯域(通信を流すパイプのようなもの。広い帯域幅=太いパイプ)を確保し、ユーザー数とのバランスがどうなっているのかも、実効速度に影響を与えます。

 また、同じ1GBと言っても、その1GBをどのように使えるのかといった違いも、各社の腕の見せ所と言えるでしょう。

使いたいときだけ高速にできるのか、1GBを使い切ったあとはずっと低速なのかでは、使い勝手に大きな違いが出てきます。

これらに加えて、通信量を節約するのに欠かせないWi-Fiの有無も気になるポイントです。

 そこで今回は、上で挙げた4社の速度や仕組みを実際にチェックしていきました。

 

4社の実効速度の違いは?

 

こんなにあった速度の差

 

 では、論より証拠ということで、それぞれのMVNOの実効速度を測っていきましょう。

実効速度の測定には、「SPEEDTEST.NET」というアプリを使用しました。

端末での差が出ないよう、SIMカードはすべてGoogleブランドの「Nexus 5」(LGエレクトロニクス製)に挿しています。

また、速度は測定するたびに差が出るのが一般的なので、全社3回ずつ測定をし、その平均を記載しています。

測定は渋谷の駅から徒歩5分ほど離れた場所で、午後3時ごろに行いました。

 

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 また、IIJの「mio高速モバイル/D」や、OCNの「モバイルONE」はクーポンをオンにしたときだけ最高速度が出る仕組みになっているので、比較のためにオンにしています。以下がその速度です。

 

 

IIJ

OCN

BIGLOBE

日本通信

下り

11Mbps

11.24Mbps

4.91Mbps

14.6Mbps

上り

8.38Mbps

7.73Mbps

0.46Mbps

0.84Mbps

 

 下りの速度だけを見ると、日本通信の「b-mobile X SIM」が一番ですが、上りの速度まで見たときのバランスのよさは、IIJやOCNに軍配が上がります。

また、日本通信のSIMでテストしたときは、ネットワークの遅延を表す「PING」の値が極端に悪かったため、速度の測定が始まるまでに時間がかかりました。

 このように、同じドコモから回線を借りたMVNOでも、速度にはこれだけの違いがあるのです。

 

WEBサイトが表示されるまでの時間で比較

 ただし、この数値だけではピンとこない人もいるでしょう。実際に、どの程度の速度でWEBが表示されるのかも合わせて測定していみました。

ここでは、総務省のサイトがすべて表示されるまでの時間を3回測り、その平均を求めました。

 

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その結果は次のとおりです。

 

IIJ

OCN

BIGLOBE

日本通信

時間

3.1秒

4.2秒

3.3秒

5.3秒

 ご覧のように、速度測定では日本通信より劣っていたIIJやOCN、BIGLOBEの方が、素早くWEBが表示されます。

このことは、先ほど説明したPINGの値が関係しそうです。ネットワークのアクセスに遅延が少ないため、トータルではページの表示される時間が短いというわけです。

 

高速化は好きなときにできる?

前提かオプションかで使い勝手が異なる

 容量が同じ1GBと言っても、どのように使えるかで使い勝手は大きく変わってきます。MVNOでは、容量の消費の仕方が主に2種類あります。

1つは、通常のキャリアと同様、月の初めから使った分だけが消費されていくタイプ。

もう1つが、好きな時だけクーポンをオンにして、高速通信を可能にするタイプです。

 前者の場合、1GBを均等に使っていかないと、月の途中で容量が足りなくなってしまいます。

とは言え、そこまで通信速度の必要がない、メールの送受信などでも自動的に高速通信が適用されてしまうため、1GBのような低容量だと自分で制御するのが難しいのが現実ではないでしょうか。

もう一方のクーポンでオン・オフを切り替えるタイプだと、設定の手間はあるものの、無駄なく容量を使うことができます。

先ほどのたとえを用いれば、メールの送受信では高速通信をオフにしたままにしておき、アプリやWEBサイトをスムーズにダウンロードしたいときだけクーポンをオンにすればいいからです。

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 クーポンをオフにした場合の通信速度は以下のとおり。

IIJ、OCNともに、1Mbpsを大きく割っていますが、軽いWEBサイトやメールであれば特に困ることはありません。

速度が必要なときにだけオンにすれば、快適に使えることが分かるはずです。

 

IIJ

OCN

下り

0.25Mbps

0.24Mbps

上り

0.37Mbps

0.14Mbps

 今回紹介した4社のSIMカードの中では、IIJとOCNが、このクーポンシステムに対応しています。無駄なく容量を使い切りたいときは、こういったタイプを選ぶといいでしょう。

 

1日型か1カ月型か

 また、今回紹介した4社のSIMカードの中で、実はOCNの「モバイルONE」だけは、1カ月ごとに容量が決まったプランのほかに、1日ごとに容量が決まったプランも選ぶことができます。

OCNの毎月50MB、毎日80MBというコースがそれです。それぞれの料金は以下のとおりです。

毎日50MB

毎日80MB

900円

1380円

 このプランをコピーした日本通信の「プランN」も、1日辺り51MBまで900円で利用することができます。

 この場合、たとえばある1日で容量を大きくオーバーしてしまっても、残りの時間を我慢すれば、次の日には高速通信が復活しています。

1カ月ごとに容量が決まっているコースだと、月の途中で容量を使い切ってしまった場合、低速で我慢しなければいけない時間が長くなってしまいます。

その意味で、1日型のコースは柔軟性のある料金プランと言えるでしょう。

 

Wi-Fiは使える?

容量の節約に欠かせないWi-Fi

Wi-Fiがパッケージに組み込まれているかも、SIMカードの使い勝手を左右する重要なポイントです。

特に容量の小さな料金プランの場合、Wi-Fiに通信を逃がせないとあっという間に容量を使い切ってしまうことになります。

家で通信するときはWi-Fiにつなぐのはもちろん、カフェなどの移動せずにある程度長時間スマホを使うようなときも、Wi-Fiが使えた方が便利です。

MVNOのSIMカードにはWi-Fiがセットになったものがあり、多くが無料で利用できます。

 たとえば、今回紹介した4社のSIMカードでは、BIGLOBEがWi-Fiに対応しています。

また、IIJもビックカメラで購入できる「BIC SIM」ではWi-Fiがセットになっています。

意外と見逃しがちなポイントですが、公衆無線LANサービスは別途加入すると料金がかかるため、セットになっているSIMカードの方がおトクと言えるでしょう。

接続設定を簡単に行うアプリを提供しているBIGLOBEのような例もあります。こうした点も、SIM選びの際に重視してみましょう。

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注:記事内の価格表記はすべて税抜です。